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幼児期のADHDで気をつけること
幼児期の場合はADHDの症状に周囲が気づきにくい、あるいは親が気づいても周囲に理解されにくい可能性があります。
このため育児について専門家に相談できる環境を整えていくとが大切です。
親が育児に悩み孤立してしまえば、それは子供の関りにも影響し悪循環となってしまうからです。
また、幼児期のADHDの症状は発達に伴い改善していく場合も少なくありません。あるいは自閉症スペクトラム障害など別の要因が関連している場合もあります。
このため、幼児期のADHD症状については安易に断定せず、慎重に経過を追うスタンスが重要です。
解説
全体像
幼児期においては特に親が育児について相談できる環境が重要と言えます。
- よくぐずり泣く
- 睡眠が不安定
- 抱かれるのを嫌がる
- なだめにくい
- 絶えず身体を動かす
幼児期の特に初期においては上記のような傾向が見られるかもしれません。
また子供がADHDの診断を受けた保護者の中で、胎動が非常に激しかったを振り返る保護者もいます。
幼児期後半においても不注意・多動性・衝動性の症状から「指示の通らなさ」を感じることがあるかもしれまえん。
これらから、親によっては「難しい気質」「育てにくい」といった印象を子供に持つ場合があります。
親によっては「まだ子供だから」と症状を見過ごす場合もあるかもしれまんせが、逆に「どうして育てにくいのだろう」という気持ちを周囲に相談できない(あるいは相談しても共感してもらえない)家庭もあるでしょう。
このような中で親が子育てに悩んでしまえば、悪循環となってしまいます。
子供の何気ない行動について両親で話し合える雰囲気、専門家に気軽に相談できる環境を見つけていくことが重要と言えます。
子供の育てにくさは家庭によっては虐待につながる可能性もあるため、一人で抱え込まないことは大切です。
内在化障害
障害そのものが原因ではなく、不適切な環境や周囲の無理解などが原因であるものを二次障害と言います。
二次障害のうち、本人の内面に起こるものを内在化障害と言います。
ADHDを呈する幼児は、人懐っこさが目立つ場合があります。
(もちろん人懐っこいからADHDというわけではありません)
このため大人から可愛がられるケースがある一方で、子供が親から極度に離れたがらない分離不安を呈する場合もあります。
分離不安への対応は主に行動療法(別れ際は短くするなど)や、親以外に愛着を形成できる環境・機会作りなどがあります。
いずれにせよやり方を間違えると好ましくないため、専門家に相談しながら行うことが望ましいでしょう。
外在化障害
二次障害のうち、他者に向けて行われるものを外在化障害と言います。
癇癪や反抗が外在化障害に該当します。
こういった外在化障害の背景には、過度な叱責といった不適切な関わりがある場合があります。
行動療法を中心とした誤学習の防止に努めます。
参考資料
『注意欠如・多動症 (ADHD) 特性の理解』(一般社団法人 日本心身医学会)2022年11月19日閲覧
『ADHD(注意欠如・多動症)の診断と治療』(厚生労働省「e-ヘルスネット)2022年11月19日閲覧