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思春期のADHDへの対応
思春期になるとADHDの特性(多動や衝動的行動)が反抗期と誤解されることがあります。
これにより周囲に理解されず実際に反抗心が芽生えるという悪循環を防ぐ必要があります。
一方で、中学生・高校生にもなってくると
子供自身が自分の特性にある程度自覚的となり、自分の特性の応じた行動も見られはじめます。
例えば順番を待つことが苦手だから、そもそも順番を待たないといけない環境を回避するなどです。
中学・高校生の時期は多感な時期であり周囲も対応が難しい時期ですが、まずは本人の特性を温かく見守り受け止め、(他人を理解することは難しいですが)理解しようとする歩み寄りは大切でしょう。
また先ほどの例で言えば、順番を待つという行為は状況によっては回避できる対策があります。
予約を事前に取ったり、目的地に早めに行ったり、混み合う時期を避けるなどです。
このような工夫を共有し、特性と社会の折り合いをつける具体的手段を一緒に考えることも大切でしょう。
解説
内在化障害
障害そのものが原因ではなく、不適切な環境や周囲の無理解などが原因であるものを二次障害と言います。
二次障害のうち、本人の内面に起こるものを内在化障害と言います。
内在化障害として考えられるのは、受動攻撃性の高まりや、低い自尊心、不安や気分の落ち込みなどです。
受動攻撃性とは、直接的に攻撃を示さず、緘黙などで反抗することです。
つまり一種の反抗として不登校を選択するケースです。
これれにより不登校・引きこもり・強迫症状などが起こる可能性が考えられます。
また思春期はインターネットやゲームなどに依存をしやすい時期でもあります。
好きなことに熱中することは悪いことではありませんが、
それが日常生活に支障をきたしたり、不登校や引きこもりを遷延してしまっているなら注意が必要です。
外在化障害
二次障害のうち、他者に向けて行われるものを外在化障害と言います。
外在化障害として考えられるものの1つは反抗的言動です。
思春期はADHDの多動的・衝動的特性が「意図的な反抗」と周囲から誤解されがちです。
これにより悪気はないのに周囲から責められ、結果として反抗心も芽生えてしまうという悪循環に陥る場合があります。
反抗心は場合によっては非行集団に所属したり、あるいは単独で反社会的行動をとるなどの事態に発展する場合もあるため周囲の配慮が必要です。
その子の言動がADHDの特性によるものなのか、思春期の反抗心によるものかの明確な線引きは難しいですが、いずれにせよ本人と接し本人のことを知ろとうとする大人の温かな姿勢は大切なのではないでしょうか。
参考資料
『注意欠如・多動症 (ADHD) 特性の理解』(一般社団法人 日本心身医学会)2022年11月19日閲覧
『ADHD(注意欠如・多動症)の診断と治療』(厚生労働省「e-ヘルスネット)2022年11月19日閲覧