ASD児のはいはいの特徴
自閉症スペクトラム障害(ASD)の子供のハイハイの経過は特異的であることがしばしば指摘されます。
一方で、こういったハイハイの特異さは自閉症スペクトラム障害を必ずしも特徴づけるものではありません。
以下、発達障害とハイハイについて見ていきます。
解説
特異的なハイハイの特徴・例
- 蛙跳びのようなハイハイ
- 片脚を浮かせたハイハイ、膝ではなく足裏を床につけたハイハイ
- お腹を床につける時期がなく、いきなりお腹を浮かせたハイハイ
- ハイハイをせず、座ったままの姿勢で手を動かしての移動
- そもそもハイハイの時期がないまま立ち、歩き出した
特徴的なハイハイとしては、例えば上記のようなものが挙がります。
仮説としては、乳幼児期の発達は間隔や運動に大きく依存する時期であり、感覚の偏りゆえに無意識に地面に腹部を付けることを避けている可能性が背景として考えられます。
しかしながら、特徴的なハイハイをしたりハイハイの時期がなかったからといって発達障害とは限りません。
定型発達でも変わったハイハイをするケースは考えられますし、逆に発達障害の子が必ず変わったハイハイをするわけではありません。
発達障害と特徴的なハイハイの関係
そもそも、特異なハイハイが発達障害児の大きな特徴かと言えばそうでもないでしょう。
日本自閉症スペクトラム学会の論文に、自閉症スペクトラム障害児者の運動発達について調査したものがあります。
自閉症スペクトラム障害の子供を養育する保護者へのアンケートによると、運動面の不器用さについて「ハイハイの時期が短かった」という所見はそこまで多くないことを認めます。
つまり発達障害だからといって全員ハイハイが特徴的かと言えばそうではなく、むしろ事例としては多くない可能性が考えられます。
参考資料
是枝喜代治(2014)『ASD(Autistic Spectrum Disorder)児者の初期運動発達の偏りに関する研究 保護者へのアンケート調査を基に』(NPO法人 日本自閉症スペクトラム支援協会 日本自閉症スペクトラム学会)2024年12月21日閲覧