発達障害児の模倣力の弱さ
発達障害あるいは自閉症スペクトラム障害(ASD)児・者は、しばしば運動や日常生活動作において模倣の苦手さを呈する場合があります。
例えば「バイバイ」の動作の際に掌を自分の顔に向ける、ダンスなどの振り付けがぎこちないなどです。
以下、発達障害児の模倣の苦手さについて、事例も交えながら見ていきます。
解説
自閉症スペクトラム障害児の模倣の不器用さ
脳の非進行性の機能障害が推定される発達障害児者は、体性感覚系の異常さを伴うケースがあり、これにより運動面の不器用さを呈する場合があります。
あるいは、発達性協調運動障害などを合併するケースが考えられます。
この他の特性も合わさり、自閉症スペクトラム障害児はしばしば動作模倣の苦手さ・困難さを呈する場合があります。
日本自閉症スペクトラム学会の論文に、自閉症スペクトラム障害児者の運動発達について調査したものがあります。
自閉症スペクトラム障害の子供を養育する保護者へのアンケート結果から、模倣の苦手さの事例をいくつか要約していきます。
模倣の苦手さの具体例
- 模倣が苦手で、他者が後ろから手を添えて教えてあげる必要がある。
- 模倣の際に注目する場所がピンポイントであり、手足の模倣はできるが全体の動きの模倣が難しい。
- ダンスなどが自分なりの動きになってしまうことが多い。
- バイバイのとき、掌(てのひら)を自分の方に向けることがある。
- 言葉を話さず、人の手を動かすクレーン現象が長く続く。
いずれもあくまで例であり、上記のような所見があれば必ず発達障害というわけではもちろんありません。
参考資料
是枝喜代治(2014)『ASD(Autistic Spectrum Disorder)児者の初期運動発達の偏りに関する研究 保護者へのアンケート調査を基に』(NPO法人 日本自閉症スペクトラム支援協会 日本自閉症スペクトラム学会)2024年12月21日閲覧