発達障害児の物の操作・協応性の弱さ
発達障害あるいは自閉症スペクトラム障害(ASD)児・者は、しばしば物の操作や協応性において苦手さ・困難さを呈する場合があります。
例えばボールを投げる際に床に投げつけるように投げてしまい、ボールを遠くへ飛ばせないなどです。
以下、発達障害児の物の操作や協応性の弱さについて、事例も交えながら見ていきます。
解説
自閉症スペクトラム障害児の協応性の弱さ
脳の非進行性の機能障害が推定される発達障害児者は、体性感覚系の異常さを伴うケースがあり、これにより運動面の不器用さを呈する場合があります。
あるいは、発達性協調運動障害などを合併するケースが考えられます。
日本自閉症スペクトラム学会の論文に、自閉症スペクトラム障害児者の運動発達について調査したものがあります。
自閉症スペクトラム障害の子供を養育する保護者へのアンケート結果から、運動面の不器用さの事例をいくつか要約していきます。
不器用さの具体例
- 走るときの腕がスムーズでない。
- バドミントンにおいて下からすくい上げる打ち方しかできない(上から打てない)。
- バスケットボールのシュートの際に棒立ちでボールを投げてしまう。
- 縄跳びが過度に苦手であり、できない。
- 縄跳び(手で縄を回しながら足で跳ぶ)のような、2つのことを同時に行う動作が苦手である。
- ボールを投げる動作がぎこちない・できない。
- ボールを投げる際に、遠くへ投げるというよりは床に投げつけている感じである。
- バッドやラケットでボールを打つことが苦手・できない。
- ズボンを上げるなどの動作において、適切に力を使うことが難しい。
- 会談で交互に足を出して登ることが苦手。
- 片足立ちがなかなかできない、苦手。
- 走ると転びやすい。
- 人差し指の使い方がぎこちない。
- スイッチを押すときになどに、人差し指ではなく中指や親指で代用する。
いずれもあくまで例であり、上記のような所見があれば必ず発達障害というわけではもちろんありません。
参考資料
是枝喜代治(2014)『ASD(Autistic Spectrum Disorder)児者の初期運動発達の偏りに関する研究 保護者へのアンケート調査を基に』(NPO法人 日本自閉症スペクトラム支援協会 日本自閉症スペクトラム学会)2024年12月21日閲覧