アスペルガー症候群やそのほか発達障害、あるいはコミュニケーションが苦手な人は言葉の裏の意味を読みとることが苦手です。
直接言えばわかるけれど、言葉にしないとわからない。
言ってもわからない人なら、「ああ、この人は理解できないんだな」と諦めもつきます。
けれど世の中にははじめは悪気もなく非常識な行動をとっていて、指摘された途端に「ああ、そっか!」と納得して行動を改められる人がいます。
言ってわかるなら、言わなくても予想がついてわかりそうなものです。
なぜ言えばわかるのに言わなかったらわからないのでしょう?
なぜ言わないとわからないのでしょう?
【非言語認知の問題】
言わなければわからない原因の一つは非言語的な認知の問題です。
人とのコミュニケーションは言葉の内容だけで行われるものではありません。
声の大きさやイントネーション、話す速さ。
それらの違いも相手の意図を読み取る大切な情報です。
同様に言葉以外の要素もあります。
表情・しぐさ・ジェスチャー・視線などです。
人から得られる情報は言語的な情報と上記のような非言語的な情報があります。
コミュニケーションにおいては言語的な情報より非言語的な情報のほうが割合が多いです。
表情を見て相手の気持ちを考えたり、視線を不自然にならない程度に合わせるといった非言語的な認知能力がコミュニケーションには大切です。
これら非言語的な情報が、言葉では語られない様々な意味の理解を助けてくれます。
コミュニケーションが苦手な人は非言語的な情報の認知が苦手です。
そのため言葉にならない段階では物事を理解しにくく、言葉にされて初めてわかるのです。
【わかり方の問題】
相手の顔色が悪く、表情も曇っている。
「今日は体調が悪い」と言われる。
どちらも相手の体調が悪いということを知るための情報です。
前者は表情という視覚からの情報。
後者は言葉という聴覚からの情報です。
情報は同じでも、情報の入り方が違います。
人には得意な情報の入れ方と、苦手な情報の入れ方があります。
どれが得意でどれが苦手かは人によって異なります。
話を聞いてもわからないけど、図にまとめてもらうと理解しやすかった経験は多くの人があるでしょう。
耳で聴くのか目で見るのか。
実際に見るのか絵で見るのか。
会話で聞くのか歌に乗せて聴くのか。
物事の理解は、入力の仕方でわかりやすいときもわかりにくときもあります。
非言語的な認知が難しい背景には、このような入力の苦手さがあります。
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