ECSとは?
ECSとは、意識障害の程度を評価する方法の1つです。
「Emergency Coma Scale」の頭文字を取って「ECS(イーシーエス)」と呼ばれています。
意識レベルの簡易評価法として日本で普及している「JCS」の改良版が「ECS」になります。
ECSの意義
意識レベル、つまりどのくらい覚醒しているかは医療現場において非常に基礎的かつ重要な指標の1つです。
当たり前の話ですが、その人が覚醒していなければ、何をするにしてもリスクが伴います。
意識レベルの評価方法に関しては、世界的には「GCS」がよく使われます。
しかし「GCS」は若干項目数というか評価結果のパターンが多すぎる傾向があります。
そのため日本ではより簡便な「JCS」がよく使われます。
ただしその簡便さゆえに、JCSは不足な点もあります。
例えばJCSの欠点の1つとして、項目の一部が開眼のみに頼っている点です。
確かに開眼は意識状態と密接に関係しますが、「じゃあ顔が腫れて目を開けたくても開けられない人はどうすればいいのか」といった単純な疑問に答えにくい状態になっています。
簡便さはできるだけ維持して、JCSの欠点を改善しようと試みたのがECSです。
ECSの実際
ECSは以下のような項目で評価します。
I.覚醒している(自発的な開眼・発語または合目的な動作をみる)
1 見当識あり
2 見当識なしまたは発語なし
II.覚醒できる(刺激による開眼・発語または従命をみる)
10 呼びかけにより
20 痛み刺激により
III.覚醒しない(痛み刺激でも開眼・発語および従命がなく運動反射のみをみる)
100L 痛みの部位に四肢を持っていく、払いのける
100W 引っ込める(脇を開けて)または顔をしかめる
200F 屈曲する
200E 伸展する
300 動きが全くない
おわりに
個人的には改良されているわけですからJCSよりECSを使うほうがいいのかなと思います。
しかし医療現場では客観的な評価を他者と共有できることが大切になってくるので、周囲にJCSが普及している場合はそれをまずは使ったほうがいいのかなとも思います。
この、検査として有能かどうかと、周りと共通理解があるかどうかは必ずしも一致しないのが難しいところです
補足記事
参考資料
『摂食嚥下障害の評価 2019』(日本摂食嚥下リハビリテーション学会)2020年8月3日検索
『Japan Coma Scale(JCS)や Glasgow Coma Scale(GCS)』(日本脳卒中学会)2020年8月3日検索
『新しいスケール:Emergency Coma Scaleの開発の経緯と有用性の検討について』(日本交通科学学会)2020年8月4日検索