皮肉過程理論と人間関係
考えないようにしようとすると余計に考えてしまうことを皮肉過程理論と言います。
これに通ずるもので、人は人間関係において意識しすぎると逆にうまくいかないことがあります(緊張しすぎて意中の人とうまく話せないなど)。
「コミュニケーションが上手いように振舞う」「意中の人とほど気楽に接する」というのは人間関係におけるコツと言えるでしょう。
解説
皮肉過程理論とは?
皮肉過程理論とは、人は何か特定のことを「考えないように」意識すると、余計にそれを考えてしまうという心理過程のことです。
有名な実験・例として、シロクマ実験があります。
「シロクマのことを考えないでください」と言われると、むしろ人はシロクマのことを考えてしまうものです。
欠乏と過剰な集中
何かを考えないようにしようとすると余計に考えてしまう。
これは欠乏に対する人の心理とも関係してきます。
例えば時間がないと、集中しないといけないのに残り時間ばかりに気を取られてしまうことがあります。
例えばお金がないと、お金のことばかり考えたくなくても考えてしまうときがあります。
欠乏は過剰な意識を向けてしまう場合があります。
欠乏と人間関係
人間関係の欠乏、つまり孤独感を感じていると、過剰に意識が向いてむしろコミュニケーションが円滑に行えないことがあります。
緊張して意中の人とうまく話せないのはその例と言えるでしょう。
「モテる人はモテるから余計にモテる」という話を聞いたことがある人もいるでしょう。
つまりモテる人は自分に自信が持てて意中の人とでも気負わず話せるので、それが相手からは魅力的に見え、結果としてモテるというものです。
ガツガツした人はモテないというのもこれの逆パターンと言えます。
自分はコミュニケーションが上手いと思いながら気負わず話すくらいが、良いパフォーマンスを出せるのかもしれません。
参考資料
センディル・ ムッライナタン、エルダー・ シャフィール『いつも「時間がない」あなたに 欠乏の行動経済学』早川書房、2015年 p189-