性格に合った自分の変え方
心理学者のダニエル・ネトルは、自分を変えたい場合の方法として「行動」を「回転」に例えています。
自分の性格特性を踏まえて事前に環境を変えることが、「自分を変えたい」場合は有意義と考えられます。
以下、表出行動を回転に例えたダニエル・ネトルの解釈を見ていきます。
解説
自分の性格特性の見方
人の性格を分析する手法の1つにビッグファイブ理論というものがあります。
ビッグファイブ理論では、人の性格を神経質傾向・外向性・開放性・誠実性・調和性の5つの因子のバランスで考えます。
例えば外向性が高い人は飲み会といった社交の場を好む傾向にあります。
また、誠実性が低い人は依存性のある行動に流されやすい傾向があります。
これらより、外向性が高く誠実性が低い人は、そうでない人よりもアルコール依存症のリスクがあると言えます。
ではこのような人がアルコールから抜け出すにはどうしたらいいのでしょうか。
表出行動の回転
神経質傾向・外向性・開放性・誠実性・調和性の5つの因子は、その人の表出行動(実際に表に現れる行動)をある程度予測します。
例えば神経質傾向が高い人は悲しみや不安といった情動に反応しやすく、ネガティブな思考への回転が強いと言えます。
外向性が高い人は新奇の場面への興味が強く、社交への回転が強いと言えます。
こういった回転を意図的にコントロールできれば話は簡単ですが、そうともいかないのが人というものでしょう。
スポーツで一度手から離れたボールの回転を変えることは困難であるように、人の行動も一度レールが決まってしまえば変えることは難しいです。(例えばアルコール依存症の人に目の前にアルコールを出して「飲まないように」と言うのは酷というものでしょう)
一度投げたボールの回転を変えることは困難ですが、投げる瞬間にテクニックで逆回転をかけることは可能です。自分の性格を把握して、それが逆の行動に結びつくように工夫します。
お酒が出ない社交の場(例えばスポーツ)にだけ参加し飲酒を伴い場にはそもそも行かない。
もしもその人が神経質傾向が高い場合はストレスからお酒を飲みすぎる場合があるかもしれません。その場合は飲酒だけに目を向けるのではなくそもそものストレス要因を取り除く。
このように自分の性格特性を把握し行動が自然と変わるような環境設定を行うことが、負担を少なく変化を起こせるかもしれません。
ビッグ・ファイブ理論とは?
参考資料
ダニエル・ネトル(Daniel Nettle)(著)、竹内 和世(翻訳)『パーソナリティを科学する―特性5因子であなたがわかる』白揚社、2009年