叙述の指さしとは?
叙述の指さしとは、他者の注意をひいたり共感したいために行われる指さしのことです。
具体的には、
例えば子供がお母さんと散歩をしていて、道中で犬に出会ったとします。
このとき、「あ、ワンワンだよ!」と親に教えたいような意図で指をさす。
これが叙述の指さしです。
叙述の指さしは子供の発達のおける指さしの分類の1つです。
叙述の指さしは三項関係の芽生えでもあります。
以下、もう少し詳しく。
叙述の指さしは何歳から?
神戸大学の論文や各種資料を参考にすると、
叙述の指さしは生後11か月前後あるいは1歳前後くらいから始まるとされています。
指さしの分類の1つに、
「あれ取って~」といったときに指をさす「要求の指さし」があります。
叙述の指さしは要求の指さしより若干あとに獲得されます。
実際の叙述の指さしの獲得過程
子供はまず8~9か月頃に自分が見たものや興味があるもの、驚いたものに指をさす「漠然とした指さし」が始まります。
この漠然とした指さしはまだ他者へ何かを伝えたいといった意図が不十分です。
いずれにせよこういった自発的な指さしが始まりその後に「要求の指さし」や「叙述の指さし」が始まります。
一見すると「漠然とした指差し」と「叙述の指さし」は区別が難しいです。
先ほどの例で言うと犬を見て指をさす行為が「漠然とした指差し」なのか「叙述の指さし」なのかパッと見どちらかは判断がつきにくいものです。
その指さしが「漠然とした指差し」なのか「叙述の指さし」なのか見極めるポイントとしては、
「叙述の指さし」は他者が「そうだね、犬だね~」といった反応があるまで指さしをし続けるという点があります。
叙述の指さしは明確に他者への意識があるということです。
おわりに
子供の発達には個人差がありますから、
月齢などはあくまで目安として捉えてもらえれば幸いです。
実生活ではその子自身のペースを大切にしてあげましょう。
叙述の指さしはおおむね1歳前後から始まる指さし行為の種類の1つです。
叙述の指さしはさらに細かく見ると「命名」と「関連付け」があります。
「命名」とは、子供が「犬がいるよ~」といった意図で指をさす状況です。
「関連付け」とはその犬をさしたあとで、別の犬を指さし「こっちにも犬がいるよ~」と関連したものを指さす行為です。
補足記事
参考資料
『自閉症幼児における応答の指さしと言語獲得』(神戸大学学術成果リポジトリ)2020年7月2日検索
『1歳児における叙述の指さしと他者との共有経験理解との関連』(J-STAGE)2020年7月2日検索
『指さし行動の発達的意義』(J-STAGE)2020年7月2日検索