喉頭摘出術と喉頭気管分離術の違い
喉頭摘出術と喉頭気管分離術はどちらも摂食嚥下障害に対する手術としてしばしば行われる手術です。
喉頭摘出術と喉頭気管分離術の違いは、前者は喉頭を摘出し、後者は喉頭から気管を分離するだけです。
そのため喉頭気管分離術は理論的には再び喉頭と気道をつなぎ、口からの気道の経路を確保することができます。
摂食嚥下障害に対する手術
喉頭摘出術は世間一般では喉頭癌に対する手術として耳にする機会が多いかもしれません。
一方で、摂食嚥下障害に対する手術としての意図もあります。
喉頭を摘出し、気道が頸部から直接確保されることで、口からの経路が食道のみになり、誤嚥のリスクがほぼなくなるためです。
可逆的な手術
しかしながら、喉頭摘出術は文字通り喉頭を摘出するため、一度手術を行うと元に戻すことは困難です。
喉頭摘出術を行うと口からの呼吸ができなくなります。
そのため発声したり息を吹いたりすることが難しくなります。
鼻呼吸も難しくなるため嗅覚も著しく低下します。
こういったデメリットも踏まえると、「元に戻すことができない」手術は必要であっても決断には勇気がいるものです。
これに対し、
喉頭気管分離術は喉頭を気道を分離するだけなので、理論的には再手術により元に戻すことも可能です。
喉頭癌などにより喉頭の摘出が必要になる場合は別ですが、摂食嚥下面に関する手術であれば喉頭摘出術より喉頭気管分離術のほうが本人やご家族の受け入れは幾分いいでしょう。
おわりに
摂食嚥下障害に対する手術として有名なものは「喉頭摘出術」と「喉頭気管分離術」があります。
両者の違いは再手術により元に戻せないのか戻せるのか。
つまり「非可逆的」か「可逆的」かということです。
ただし、喉頭摘出術にせよ喉頭気管分離術にせよ、これらが選択肢に挙がるという状況はかなり重度の嚥下障害であることが予想できます。
そのため、
喉頭気管分離術は理論的には嚥下機能が回復すれば再手術により元に戻すことは可能ですが、そこまで嚥下状態が回復することは実際には稀有な例だと考えられます。