覚えやすい九九は?
一般的に、九九は1や5が関わるものが正答率が高い傾向にあります。
つまり1の段や5の段が比較的早期に覚え、7の段や8の段などに苦戦する傾向があるようです。
これらより、掛け算および九九は1と5が特異数であると言えます。
解説
覚えやすい九九
日本LD学会の論文に、小学校2年生の九九の正答・誤答の傾向を調べたものがあります。
これらによると、被乗数・乗数に1や5を用いる九九の正答率は高い傾向にありました。
(ちなみに被乗数・乗数についてですが、例えば「1×2」であれば1が被乗数で2が乗数です)
小学校3年生および4年生を対象とした別の調査でも類似した傾向が見られます。
掛け算において0・1・5を用いた計算については反応時間が速かったようです。
九九の特異数
掛け算・九九において、1や5は特異数であると考えられます。
特異数とは、基になる数であったり生得的に量が理解しやすい数のことです。
要するに他の数より感覚的にわかりやすい数と言えるでしょう。
特異数がある、つまり計算において得意なもの・理解しやすいものがあることは指導のヒントになります。
例えば子供が九九でつまずいて、しかし5の段は理解できている場合。
この場合は5の段でまず掛け算の仕組みを学習することで他の段のイメージがつきやすくなるかもしれません。
このように、九九は難しい段だけでなくすでに得意になった段・簡単な段にも着目することが指導の上では大切です。
参考資料
『九九学習で誤答率の高い九九の要因と特異数』(一般社団法人 日本LD学会)2021年12月16日閲覧
『算数障害を有する児童に対する九九の自動化のための学習支援』(上越教育大学)2021年12月16日閲覧
『通常の学級に在籍する児童への特別支援学校のセンター的機能を通したわり算指導に関する一考察』(一般社団法人 日本LD学会)2021年12月16日閲覧