ソーシャルスキルとして、
「暗黙のルール」について考えるページです。
「お返しはいらないから」の意図
例えば畑をしている人が、野菜が取れすぎたので持ってきてくれました。
「お返しはいらないから」とおすそ分けしてくれます。
例えば結婚や出産をして、
「お返しは気にしなくていいから」とお祝いをくれました。
「お返しはしなくていい」と前置きをされてから物をもらうことがあります。
ただしこれを額面通り受けると、
相手に引かれる・嫌われる可能性があります。
「お返しはしなくていいから」は、
「私が気を遣わずに気持ちよくもらえる程度のお返しをください」という意味である場合があります。
「お返しはいらないから」の理由
誰かに物をあげるとき・プレゼントするとき、
「お返しはしなくていいから」と言う人がいます。
相手に「お返しをしなくちゃ」と精神的な負担を与えることが嫌だから、そういうことを言うわけですね。
やはり「お返し」とは気を遣うものです。
もらった物と釣り合いがとれる、ちょうどよいお返し。
相手に喜んでもらえるお返し。
適切なお返しをするって、考えれば考えるほど難しいものです。
難しいから、「めんどくさい」と思ってしまうこともあります。
だからプレゼントをする人は、相手に「お返ししないといけなくてめんどくさい」と思われたくないわけですね。
めんどくさい人と思われたくないわけです。
けれどその一方で、
相手が気持ちよくお返しをしてくれるなら、嬉しいものです。
自分が好意的に物をあげて、
相手も好意的に(めどくさがらず)お返しをくれたら、相思相愛で嬉しいですね。
プレゼントをする人は、「めんどくさいなあ」と思われて渡されるお返しは嫌ですが、相手がめんどくさがらず好意的に選んだお返しはもらうと嬉しいです。
むしろプレゼントをあげる人は、
相手の「あなたからプレゼントをもらって嬉しいです。あなたのためにお返しを選んで渡すことは全然苦じゃありません」という気持ちを欲しいのですね。
めんどくさいですね。
「お返しはいらないから」への対応
基本的には、相手が何を言おうと、物をもらったらその文脈に合うお返しをするほうが無難です。
例えば結婚や出産のお祝い。
これはマナーとして相場がネットにたくさんあるのでわかりやすいですね。
一般的にご祝儀のお返しはもらった金額の半分と言われますね。
一方で、
家の畑で作った野菜のおすそ分け。
家庭で作ったお菓子のおすそ分け。
こういった自作の物のおすそ分けに、金銭や買った物をお返しするのは仰々しいですね。
その人が持っている物・作った物のおすそ分けは、
自分も持っている物・作った物でお返しをするのが無難です。
「お菓子をもらったけれど、
私は普段お菓子なんて作らない」
そういう状況の人もいるかもしれません。
こういうときは、
お店で買った「ちょっとしたお菓子」を、「もともと家にあった」フリをして渡すのも処世術かと思います。
要するに
「あなたのために買いました」
だと仰々しいので、
「私はこのお店のクッキーが好きで家にいつもストックしてあるんだけど、おいしいからよかったらこの前のお返しにどうぞ」
ということです。
おわりに
「お返しはいらないから」は多くの場合、それを額面通りに受け取ってお返しをしないと人間関係がうまくいかないことがあります。
「お返しはいらないから」と言われても、控えめなお返しはしておいたほうが無難です。
一方で、
本当にお返しがいらないから「お返しはいらない」と言う人もいます。
このあたりは、互いの関係性やその人の性格から察するしかありません。
わかりにくい場合は別の人に相談してもいいかもしれません。
人間関係って、めんどうですね。