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PVT-Rの結果の見方
前のページで、PVT-R(絵画語い発達検査)の概要を見ていきました。
このページではPVT-Rの結果の見方・解釈の仕方を見ていきます。
- 語彙年齢から言語発達を推し量る
- 評価点から発達の遅れの有無をスクリーニングする
- 検査時の様子から対象児の課題に対する取り組みの傾向を評価する
PVT-Rの場合、上記のような3点が主な着眼点であると考えられます。
解説
語彙年齢から言語発達を推し量る
PVT-Rから得られる語彙年齢
PVT-Rはその子の理解語彙の年齢の目安を得ることができます。
例えば5歳の子にPVT-Rを実施し語彙年齢が3歳であった場合、この子の語彙年齢が高くないことは明らかでしょう。
実年齢よりも語彙力が低いとわかれば、周囲がどのような語彙を使いどのように語りかけるかのヒントを得ることができます。
理解語彙からわかること
年齢に比べて、語彙が少ないなあという印象の子がいたとします。
この場合、2つの可能性が考えられます。
実生活で子供の言葉が少ない場合、そもそも言葉を知らないのか、知っているけれど(緘黙など他の要因で)話せないのかの鑑別は重要です。
PVT-Rの結果が低く出れば前者、年相応以上なら後者の可能性を考えることができます。
語彙年齢だけではわからないこと
一方で、語彙年齢だけではわからないこともあります。
例えば5歳の子の語彙年齢が4歳8カ月と出たとします。
この子の語彙年齢は実年齢より下回っていますが、これはどのくらい深刻なことなのでしょうか。
「ちょっと語彙は少ないけれど、許容の範囲内」なのか、「明らかな遅れであり、専門的な支援を行ったほうがいい」のか。
語彙年齢だけでは、語彙力が高い・低いはわかっても、その程度や意味合い、深刻さを客観的に説明することが難しいです。
このため、評価点が必要になっていきます。
評価点から発達の遅れの有無をスクリーニングする
平均と標準偏差
PVT-Rは結果を算出すると語彙年齢に加え評価点を得ることができます。
PVT-Rの評価点は平均10、標準偏差3の正規分布を成します。
(平均と標準偏差の関係はここでは割愛します。詳細は文末のリンク、次のページに記載します)
PVT-Rの評価点
先述の通り、PVT-Rの評価点の平均は10、標準偏差(SD)は3です。
このため評価点が10±3、つまり7~13は狭い範囲での平均域と考えられるでしょう。
さらに、2SDの値について見てきます。
標準偏差は3、3×2は6なので、2SDを下回る・上回る評価点は10±6となります。
つまり評価点が4を下回る、あるいはそれに近い値の場合は言語発達の遅れが可能性として考えられます。
評価点の解説
以上を踏まえ、PVT-Rの評価点を整理していきます。
PVT-Rの評価点は、1~19の段階で表されます。
数値が高くなるほど評価点が高いことになります。
PVT-Rの評価点は
1~5が明らかな遅れ
6~8が平均より下
9~11がごく平均
12~14が平均より上
15~19が明らかに高い
とされます。
検査時の様子から対象児の課題に対する取り組みの傾向を評価する
誤り方の違い
PVT-Rに限らず、選択形式の検査では「適当に指をさしてたまたま正解する」というパターンがあります。
このような「まぐれ当たり」が結果に影響しないように、検査やテストは作成過程において様々な工夫がなされます。
PVT-Rの場合、「解答して間違った場合(=誤答)」と「自発的に『わからない』と答えた場合(=無答)」では結果に差が出るようになっています。
前者より、後者のほうが良い結果になるようになっています。
検査時の様子
PVT-Rは誤答と無答の割合がきちんと結果に反映されます。
しかし結果の数値だけでなく、検査場面からわかることもあります。
例えば、PVT-Rは1問あたり4択です。
しかし答えが均等に4つの絵に散りばめられているかというとそうではありません。
同じ位置に正解があえて偏っている場合もあります。
子供が選択肢を均等に指さそうとしていたら、それは答えがわかっているわけではなく先入観で解答している可能性があります。
また、検査前半はわからないときは「わかりません」と答えていたのに、後半になるに従って明らかに図版を適当に指し始めるケースがあります。
これは集中直が持続していなかったり、問題が難しくてちんぷんかんぷんになっていることがわかります。
このようにPVT-Rはただ図版を指してもらうだけの検査ですが、検査時の様子からその子の性格や学習の特徴が読みとれます。
このような子供の傾向を観察し把握しておくのも、PVT-Rを実施し評価する専門家には大切な視点と言えます。
標準偏差や語彙の発達について
標準偏差や正規分布の解説






