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構音訓練に際した検査・評価の流れ
発音のことを医学的には構音(こうおん)と言います。
発音の改善のためのリハビリを構音訓練と言ったりします。
構音訓練を行う上では、練習すべき音はなんなのかという評価がまず大切です。
構音訓練に伴って行われる評価の組み合わせを考えます。
解説
知能検査および発達検査で全体の評価
構音訓練の時期には適齢期がありますが、それは生活年齢だけでなく発達年齢についても言えます。
そのため構音訓練に先立って、お子さんの発達の状況を知ることは重要です。
状況に応じて必要であればWISCや田中ビネー知能検査などを。
聴力検査を行う
これも構音訓練に先立って。
構音の獲得には聴力の影響が少なからず影響します。
中耳炎などの既往があるお子さんは特にチェックしておきましょう。
会話明瞭度の評価
要するにフリートーク中の観察所見。
自由会話にて、お子さんの会話を他者がどの程度わかるかを判定します。
1段階:よくわかる
2段階:時々わからない語がある程度
3段階:聞き手が話題を知って聞いていれば、どうにかわかる
4段階:時々わかる語がある程度
5段階:全く了解不能
の5段階評価です。
構音検査法の実施
一番中心となる検査になります。
日本聴能力言語士協会・日本音声言語医学会が作成した構音検査が一般的。
もっと詳しく:【検査】構音検査とは?
発語器官の運動機能検査
発語器官の運動能力を見ます。
有名な方法の1つは「パタカテスト」。
「パパパ・・・」
「タタタ・・・」
「カカカ・・・」
それぞれできるだけ速く言ってもらいます。
1秒あたり何回言えるか。
1秒あたり3~5回言えていれば平均域です。
さらに、
「パタカ パタカ パタカ・・・」
これもできるだけ速く言ってもらいます。
5秒間で5回以上言えれば問題ないでしょう。
被刺激性の有無を評価
被刺激性検査とは、正しく構音できなかった音を、検査者が言ってみてせて真似させる検査です。
正しい音の見本があれば言えるのか、それとも見本があっても言えないのか。
お子さんの構音の様子として、被刺激性があるか否かは重要な情報です。
先述の構音検査の際に一緒に行うことが多いです。
語音弁別力を評価
正しい音と間違っている音を聞き分けられるかどうか。
そもそも正しい音と間違っている音が区別できなければ練習できませんよね。
対象の子供さんが間違っている音と正しい音を含む単語リストなどを準備して行います。
聴覚記銘力を評価
構音訓練は単語や文章の復唱を行います。
これらを復唱できる最低限の記銘力がなければ、訓練は難しいでしょう。
掘り下げテストで一貫性と鍵となる語を評価
お子さんの苦手な音がわかってきたら、その傾向をより調べます。
苦手な音が語頭・語尾・語中それぞれに入った単語リストなどを使います。
・音の誤り方に一貫性があるか
・比較的正しく構音できる「鍵となる語」はあるか
以上のような点に着目して行います。
参考資料
湧井 豊『構音障害の指導技法 音の出し方とそのプログラム』学苑社、2013年