さしすせそ(サ行)の練習期間
例えば「アイス」が「あいちゅ」になる。
幼い子供の稚拙な発音はかわいいものですが、それが長いこと続くと親としては心配になることもありますね。
一般に、「さしすせそ」の音は日本語の中でも難しい音で、上手く発音できないお子さんもいます。
適齢期になってもサ行の音が言えない場合、発音練習を適宜行うことが望ましいです。
では、
「さしすせそ」はどのくらい練習すれば言えるようになるのか?
これは本当にお子さんによるので一概には言えません。
しかしながら、やはり何か目安は欲しいですよね。
あくまで目安ですが、
「さしすせそ」の練習期間としては、1回1時間程度の練習を週に1回行ったとして、およそ1年ほどを要するでしょう。
以下、もう少し詳しく。
さしすせそ(サ行)の練習量と頻度の典型例
発音のことを医学的には「構音(こうおん)」と言います。
そして発音練習のことを専門的には「構音訓練」と言ったりします。
構音訓練において各種専門家も参考にする有名書籍の1つに、歯学博士である湧井豊氏の著書「構音障害の指導技法 音の出し方とそのプログラム」があります。
上記によると、構音訓練は段階を踏んで行う必要があり、
典型的なサ行の練習の場合そのステップはおよそ18ステップ。
1回の練習を50分と仮定した場合、1つのステップおよそ2回の練習を費やすとされています。
つまり、
50分 × 2回ずつ ×18ステップ。
計算が細かくなるので、およそ1回1時間の練習として、
サ行の練習は合計36時間費やすことが予想されます。
また、湧井豊氏は、
練習は1回で長時間やるよりも、短時間でも毎日やるほうが望ましい。
子供が飽きないように練習を工夫することが大切。
といったことを述べています。
サ行の練習の実際
36時間ということは、週に1回1時間練習すれば、およそ9カ月で達成できそうですね。
では実際のところどうなのでしょう?
例えば「ことばの教室」や公的機関で専門スタッフの指導を受ける場合、子供さんが風邪をひいて練習を休んだり、気分がのらなかったり、祝日でそもそも練習が休みだったりして期間が延びることは容易に想像できますね。
また、
で詳しく書きましたが、
サ行の音は4歳~4歳6カ月頃に出始める音です。
そのためサ行の練習は4歳~4歳6カ月以降に始めることが多いです。
年齢的にできなくて当たり前のことを早々に練習させても意味がありませんからね。
こういった経緯から、専門のスタッフによる公的機関での構音訓練では、
サ行の音はおよそ年中さん頃から練習を始めて小学校に入学する頃までに完了することを目標に進められます。
これは、小学生になり新しい人間関係の中で、お子さんが「発音がうまくできないことで友達からからかわれる」といったトラブルを未然に防ぐ意図もあります。
まとめ
以上のように、発音の練習は詰め込めば理論上は比較的短期間で可能ではありますが、実際のところは1年ほどの期間をみて行います。
場合によってはもっと長くかかる場合もあります。
いずれにせよ、詰め込むような練習は現実的ではないでしょう。
こまめに規則正しく行うことが一番です。
そして、お子さん自身が集中して意欲的に取り組めることが上達への近道です。
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