場面緘黙

場面緘黙の定義・診断基準|DSM-5を踏まえた解説

公開日:2023年8月17日


 
 

場面緘黙の定義・診断基準

 場面緘黙とは特定の場面(学校など)で発話の困難さを示す一方で、他の場面(家庭など)ではほぼ通常の発話ができる状態のことです。

 場面緘黙の実際的な診断基準としては、DSM-5などの内容が参考になるでしょう。

 
 
 

解説

診断基準

 DSM-5では、診断基準は以下のようになっています。

A.ほかの状況で話しているにもかかわらず、話すことが期待されている特定の社会的状況(例:学校)において、話すことが一貫してできない。

B.その障害が、学業上、職業上の成績、または対人的コミュニケーションを妨げている。

C.その障害の持続期間は、少なくとも1カ月(学校の最初の1カ月だけに限定されない)である。

D.話すことができないことは、その社会的状況で要求されている話し言葉の知識、または話すことに関する楽しさが不足していることによるものではない。

E.その障害は、コミュニケーション症(例:小児期発症流暢症)ではうまく説明されず、また自閉スペクトラム症、統合失調症、または他の精神病性障害の経過中にのみ起こるものではない。

DSM-5より引用

 このように、場面緘黙の発話の困難さは本人の気分などによるものではなく、また知的障害といった別の障害で説明できるものではないことがわかります。

 そして場面緘黙は学業や対人コミュニケーションの妨げになっている状態と考えられます。
 つまり言葉は少ないけれど生活に支障はない「内気な性格」とは異なるものと言えます。

 
 

場面緘黙の種類

 Johnson・Wintgensは、場面緘黙について以下のような分類を提案しています。

  • 場面緘黙傾向
  • 純粋な場面緘黙
  • 話し方や言語の障害を伴う場面緘黙
  • 複合的場面緘黙(医療・環境・情緒面で他に問題を抱えるケース)

 これらは場面緘黙児の実際の支援の際に役立つ知識と言えるでしょう。

 先述の通り場面緘黙の症状は知的障害や自閉症スペクトラム障害といった別の疾患で説明できるものではありません。
 しかしながら、場面緘黙症と別の疾患が併存することはあり得ます。

 このため場合によって自閉症スペクトラム障害などの主診断に加え、場面緘黙を従診断として支援を行っていくことが有意義なケースもあります。

 
 
 

場面緘黙の解説

 
 
 

参考資料

『場面緘黙(選択性緘黙)の多様性—その臨床と教育—』(日本不安症学会)2023年7月22日閲覧

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