場面緘黙

場面緘黙(選択性緘黙)の予後は? 治るのか?

公開日:2023年9月22日


 
 

場面緘黙の予後

 場面緘黙は「そのうち話すだろう」と放っておくのではなく、できるだけ早期の支援が望ましいと考えられます。

 場面緘黙児は成人に至るまでに発話が可能になる例も少なくありませんが、十数年誰にも一言もしゃべることができないケースもあります。

 二次障害を防ぐためにも、自然改善に任せるのではなく早めの対応が無難と言えるでしょう。

 
 
 

解説

場面緘黙児への早期介入

 場面緘黙の治療法の1つとして行動療法が挙げられますが、これは幼い頃からの開始が効果的と考えられています。

 就学後、例えば8歳や9歳頃からの介入だと同じアプローチでも症状改善がゆっくりになってしまう場合もあるでしょう。

 場面緘黙において行動療法は早期に高頻度で行うことが望ましいとされています。

 このような支援や周囲への理解の働きかけ、本人のコミュニケーション意欲の高まりなど複数の要因が重なって症状改善に向かっていきます。

 このため自然改善に見える例も、周囲の働きかけや本人のコミュニケーション意欲の高まりなどがタイミングよく重なったことで起こっているとも考えられます。

 例えば保育園や小学校の担任の先生の接し方などは(それだけが要因とは言えませんが)重要です。

 
 

場面緘黙児の症状経過

 日本不安症学会の論文における場面緘黙児の治療経過を調査した小児科によると、受診した場面緘黙児のうちおよそ3分の2は、1年後に症状が中等度以上改善していたようです。

 あくまで1つの医療機関の調査なのでケースバイケースでしょうが、場面緘黙児の予後予測としては参考になる例の1つと言えるでしょう。

 
 

場面緘黙に伴う二次障害

 場面緘黙児は支援なく学校生活を送るとうつ病や他の不安症、不登校など二次障害を伴ってしまう場合があります。

 このような二次障害は学業面や社会面の発達を阻害するリスクとなります。

 場面緘黙児は良くも悪くも「おとなしい」印象を周囲に持たれがちで、例えば多動で落ち着きがない子と比べれば見過ごされがちです。

 しかしながらそういった支援の先延ばしが二次障害を招く可能性もあります。
 また先述の通り同じ支援でも開始時期が遅れれば効果が十分に発揮されるのに時間がかかる場合もあります。

 「そのうち話すだろう」と先延ばしにするのではなく、早めの支援・連携が有意義と言えるでしょう。

 
 
 

場面緘黙の解説

 
 
 

参考資料

『場面緘黙(選択性緘黙)の多様性—その臨床と教育—』(日本不安症学会)2023年7月22日閲覧

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