場面緘黙児への初回アプローチ
場面緘黙児との初回面接は、保護者からの情報収集が主となるでしょう。
場面緘黙児がいきなり初対面に専門家と話すことは当然難しいと考えられるので、まずは情報収集を行いながら和やかな雰囲気作りが大切です。
情報収集では発症時期や他の疾患の併存の有無を見ていきます。
また情報収集と併行して、SMQ-R(場面緘黙質問票)などで場面緘黙の程度を客観的に評価します。
解説
場面緘黙児とのコミュニケーション
場面緘黙児は話すことができない場合でも筆談ができることがあります。
その子が取れるコミュニケーション方法を見極めます。
一方で、場面緘黙児はしゃべることができないだけでなく、筆談や首を振るといった応答も難しい場合があります。
この場合は保護者からの情報収集が初回では主になるでしょう。
いずれにせよ子供が委縮してしまわない雰囲気作りが大切です。
場合によっては親子と専門家が話す時間は短時間にとどめ、その後に子供には遊びの時間を設けてもいいかもしれません。
専門家と保護者だけで話せる時間の中で詳細な情報収集を行っていくパターンです。
初回の着眼点
場面緘黙児への初回アプローチ・インテーク面接では以下のような点がポイントになると考えられます。
- 乳幼児期の気質(新奇場面での反応)
- 保護者の気質
- 発症時期(集団デビューの前か後か)
- 適応度(保育園や小学校、塾などでの様子)
また他の疾患との鑑別や併存の確認のため以下の点も重要です。
- 知的面や学習の習熟度
- ASDの傾向
- 不安症の種類や程度(全般性、社交、分離不安など)
- 心身症や精神疾患の併存(抑うつ傾向、神経症など)
必要であれば知能検査など他の疾患の評価・検査も行うと有意義でしょう。
SMQ-R(場面緘黙質問票)とは?
場面緘黙の解説
参考資料
『場面緘黙(選択性緘黙)の多様性—その臨床と教育—』(日本不安症学会)2023年7月22日閲覧