場面緘黙と発達障害は合併するのか?
発達障害だから場面緘黙になるとは限りませんし、場面緘黙だから他の発達障害になるかと言えばそうではありません。
しかしながら、場面緘黙児は何らかの発達障害を合併している場合も少なくなく、鑑別診断は重要です。
解説
場面緘黙と発達障害は併存する割合
日本不安症学会の論文によると、場面緘黙児の68.5%は発達障害や発達遅滞に該当するとされています。
内訳としては、言語障害が50%、発達性協調運動障害が17%、軽度精神遅滞が7.7%、アスペルガー症候群が7.7%などとなっています。
また、場面緘黙児の74.1%は何らかの不安症の診断基準に該当しているという報告もあります。
場面緘黙とASD
自閉症スペクトラム障害(ASD)の子は場の空気や状況を読みにくく、それゆえに不安を強く感じる場合があります。
場面緘黙児も場面に対する不安が強く、この点は共通する気質と考えられるでしょう。
冒頭で述べた通り場面緘黙だと他の発達障害になるというわけではありませんが、共通する気質があることは重要なポイントと言えます。
場面緘黙の診察
当然ながら、場面緘黙児は診察の際に流暢にしゃべることは難しいことが予想できます。
まったくしゃべらないだけでなく、頷くなどといった非言語的なコミュニケーションも難しい場合があります。
このため、場面緘黙児が他の発達障害を合併しているかどうか初診では判断が難しい場合があります。
場面緘黙児を初診だけで診断・評価してしまうことはリスクがあると言えるでしょう。
保護者としてもそういったことを念頭に、専門機関には複数回・一定期間通うことが無難と考えられます。
1回だけの診察で診断がされなかったからといって、「合併症はない」と判断するのは早計かもしれません。
場面緘黙の解説
参考資料
『場面緘黙(選択性緘黙)の多様性—その臨床と教育—』(日本不安症学会)2023年7月22日閲覧