場面緘黙

刺激フェイディング法とは?|場面緘黙へのアプローチ・行動療法

公開日:2023年10月6日


 
 

刺激フェイディング法とは?

 「刺激フェイディング法」とは、その人が許容できる刺激環境の中に困難な刺激を徐々に入れ、慣れていく方法です。

 行動療法の一種であり、場面緘黙へのアプローチ方法の1つでもあります。

 刺激フェイディング法の理論の背景には「interbehavioral psychology(相互行動心理学)」があります。
 「interbehavioral psychology(相互行動心理学)」は「徹底的行動主義」の対比と考えられることが多い概念です。

 
 
 

解説

場面緘黙児への特徴

 場面緘黙とは、特定の場所で一貫してしゃべることが難しい状態のことです。

 緘黙が生じる場面は人によって様々ですが、例としては家では普通に話せるのに学校ではしゃべることができないといったケースがあります。

 場面緘黙は障害であり、本人が「わざと」話さないでいるわけではありません。
 このため「話しなさい」と大人がただ強要する根性論では、事態を好転させることは難しいでしょう。

 場面緘黙はある場面では話せて別のある場面では話せないという場面による違いが大きな特徴であり、ここに治療の鍵があります。

 
 

場面緘黙と刺激フェイディング法

 刺激フェイディング法は、本人にとって許容しがたい刺激を慎重に段階的に取り入れることで、それを許容できるように図る行動療法です。

 例えば家では普通に話せるのに学校ではしゃべることができない場面緘黙児がいたとします。

 この場合、児は「家」で「母親」となら普通に話すことができるということが推測できます。
 このため、まずは「診察室」で「母親」と話せるように環境設定し徐々に慣れていきます。
 次に、「診察室」で「母親」と「専門家」と話せるようなっていきます。
 続いて、例えば学校の担任に協力してもらい「診察室」で「母親や専門家」と「担任」と言葉を交わせるようになっていきます。
 そして「学校」で「担任」と話せるように徐々に環境や機会を設けていきます。

 このように、本人にとって緘黙を引き起こす要因を負担にならない程度に徐々に期間を十分に設けながら取り入れていきます。

 当然ながら上記はあくまで一例であり、実際の刺激を入れていくプロセスは場面緘黙児の状況によって異なります。
 この段階をどのように設けていくかが刺激フェイディング法のポイントであり専門家の腕にかかっていると言えるでしょう。

 
 
 

interbehavioral psychology(相互行動心理学)とは?

 
 
 

参考資料

『場面緘黙(選択性緘黙)の多様性—その臨床と教育—』(日本不安症学会)2023年7月22日閲覧

『Selective Mutism Questionnaire日本版(SMQ-J)の信頼性と妥当性の検討』( 日本不安症学会)2023年9月9日閲覧

『かんもくネット』2023年9月9日閲覧

『行動療法におけるInterbehavioral Psychologyパラダイムの有用性 : 刺激フェイディング法を用いた選択性緘黙の克服事例を通して』(一般社団法人 日本認知・行動療法学会)2023年9月16日閲覧

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