選別聴覚検査の信頼性
選別聴覚検査は一般的な聴力検査との一致率が92.9%であり、簡易でありながら信頼性も高い検査であると言えます。
解説
選別聴検の位置付け
選別聴覚検査は簡易で行いやすく一次検診として用いられます。
選別聴覚検査で所見があった人には、より詳細な検査などを行う二次検診を促します。
このため選別聴覚検査は、聴力に問題がある人ばかりが受けるのではなく、むしろ多くの人が異常なしとなるような集団で実施されることが考えられます。
選別聴覚検査と基本的な聴力検査のような「簡易検査」と「比較的詳細な検査」の一致率は、「所見なし」の人が多い集団ほど一致率が高くなると考えられます。
選別聴覚検査の一致率
耳鼻咽喉科臨床学会の論文によると、選別聴覚検査と基本聴検の一致率は(「所見あり」が比較的多い集団においても)92.9%でした。
選別聴覚検査は比較的信頼性が高い検査を言えます。
偽陽性と偽陰性
一致率が92.9%と比較的高く信頼性のある選別聴覚検査ですが、(どんな検査も)少なからず偽陽性や偽陰性は存在します。
その点についてはどのように解釈したらいいでしょうか。
選別聴覚検査は健康診断における一次検診として実施されるので、偽陽性はそこまで大きな問題ではないのでしょう。
一方で、症状がある人を見逃す可能性がある偽陰性は問題です。
しかし、この偽陰性についても選別聴覚検査の特性を考えると大きな問題にはなりにくいと考えられます。
選別聴覚検査は左右の耳それぞれに複数の周波数の音を提示し検査を行います。
どれか一つの音(例えば右耳の1kHz)で偽陰性が生じても、他の周波数で異常を検知するパターンがあり得ます。
5dBの誤差を許容範囲としかつ、偽陰性があっても他の検査項目で異常が検知された人を除けば、完全な見逃しはかなり低いことが予想されます。
このように選別聴覚検査はその簡易さから考えると信頼性の高い有用な検査と言えます。
選別聴力検査の解説
参考資料
『選別聴覚検査による聴覚管理』(耳鼻咽喉科臨床学会)2023年6月29日閲覧