大人と同じ聴力になる年齢は?
子供が大人と同じ聴力を有するようになるのは何歳頃なのでしょうか。
個人差はありますが、
成人とほぼ同じ聴力に達する時期は4歳頃と考えられています。
解説
聴覚の発達
言葉や聞こえについての専門書である「言語聴覚士のための言語発達障害学」によると、定型発達において聴力は4歳頃に成人とほぼ同等のレベルに達すると考えられています。
人間は出生時の時点で聴器と聴神経の両方がすでに完成しており、生後2年間で聴覚伝導路の髄消化が完成すると言われています。
髄消化とは脳の神経の伝達速度が高まることです。
脳や神経は物自体があってもそれが使われていなければ役割を果たせません。このため人間の成長において髄消化は大切な発達過程と言えます。
以下に、月齢ごとの聴力の目安を挙げていきます。
月齢ごとの聴力の目安
- 0~3か月:60~70dBHL
- 3~7か月:50~60dBHL
- 7~9か月:40~50dBHL
- 9~16か月:30~40dBHL
- 16~24か月:20~30dBHL
20~30dBはおよそ時計の秒針の音や、鉛筆の筆記音に相当します。
一般的に正常な聴力は0~25dBと考えられているため、1歳4か月~2歳頃には成人で言うところの聴力の正常域になりつつあることがわかります。
とは言いつつもこの段階ではまだ成人における正常域と軽度難聴の境目であり、以後も子供の聴覚が成長し4歳頃に成人と同程度になっていきます。
逆に70dBは騒々しい街中や、間近で聞く蝉の声に相当します。
生まれたばかりの子の聴力がいかに未発達であるがわかります。
だからといって必要以上に大きい声や音を聞かせる必要はありませんが、時期に応じた聴力への配慮があると有意義でしょう。
子供の聴力は一般的に新生児の時点で聴覚スクリーニング検査により検査されます。
ただし幼い頃であればあるほど正確な聴力検査は難しいため、検査だけでなく日常の聞こえの様子を親が気がけてあげることは前提となるでしょう。
補足記事
参考資料
『感覚器の成長・発達』(バイオメカニズム学会)2021年8月3日検索