聴力検査から考える健康診断の受診率
通常、健康診断では所見がある人をざっくりと見つける一次検診、そこから有所見者を精査する二次検診があります。
聴力検査の場合は一次検診として選別聴覚検査が用いられることが多いです。
一次検診の簡便性の正確性バランスは、健康診断の受診率や意義に大きく関わります。
解説
健康診断の受診
実情として考えると、(例えば会社の健康診断など)健診受診者は自覚症状が乏しく「嫌々」健康診断を受けている場合が多いでしょう。
健康診断は言わずもがな病気や健康上のリスクの早期発見を目的に行うものですが、そのためには受診者のモチベーションの低さが1つの壁となります。
つまり今困っていないのに医療に手間や時間をかけるかと言えば、それを望まない人も少なくないということです。
このため健康診断では、いかに簡便に的確に精密検査対象者を見つけ出せるかが重要となります。
健康診断では多くの人が簡便に受けられる一次検診、そこで所見が見られた人を精査する二次検診を設けている場合が多いです。
このとき、一次検診の内容で有所見者をどのくらい出すかがポイントになります。
少なすぎれば取りこぼしが多いですし、多すぎれば二次検診対象者が多すぎて受診者も「面倒」に感じてしまうでしょう。
この一次検診のバランス感覚が健康診断では重要です。
選別聴覚検査
聴力検査の場合、一般健康診断では選別聴覚検査を行うことが多いです。
選別聴覚検査は1kHzの30dB、4kHzの40dBの音を左右それぞれで聴取します。
標準純音聴力検査などと比べると簡易で短時間で行えるメリットがあります。
また、耳鼻咽喉科臨床学会の論文によると選別聴覚検査は標準的な聴力検査との一致性が高く、この点からも一次検診で行う検査として妥当であることがわかります。
選別聴力検査の解説
参考資料
『選別聴覚検査による聴覚管理』(耳鼻咽喉科臨床学会)2023年6月29日閲覧