思春期の子育てと親の仕事の関係
親の仕事役割受容と家庭役割受容には相関があります。
つまり仕事と家庭の充実は因果関係はないものの関連があるということです。
親の仕事と家庭が充実していれば、当然ながら子供の心身状態にも良い影響があると想像できます。
しかしながら、父親と娘の関係においては、親の仕事の充実は子育てにおける受容的態度に結びつかない可能性があります。
解説
仕事役割受容とは?
仕事役割受容とは、自分の仕事に対して受容(納得)できているかということです。
つまり自分の仕事に対して満足しているか、評価できているか、有能感や達成感を感じることができているかということです。
仕事役割受容は家庭役割受容と相関しており、良好な家庭環境を築くためには興味深い要素と言えます。
あくまで相関関係であるため因果関係ではありません。
このため「仕事がうまくいけば家庭もうまくいく」というわけではありませんが、「仕事が充実している人は家庭も充実しているケースが有意に多い」とは考えられるでしょう。
父と娘の関係から見た仕事役割受容
仕事がうまくいくことに越したことはありませんが、当然ながら仕事がうまくいくからと言って子育てがうまくいくとは限りません。
父親の仕事役割受容の高さと娘への受容的行動の高さは負の関係があるようです。
つまり家庭でうまく娘とコミュニケーションが取れていない父親は、仕事に逃げる傾向が考えられます。
もちろん、仕事が充実している親がみんなそうとは言えません。
しかし、母親・息子、母親・娘、父親・息子にこういった傾向は統計的に見られず、父親・娘の関係性についてのみ見られる点は興味深い傾向と言えるでしょう。
思春期の子育ての解説
参考資料
山本三奈、佐藤幸子、塩飽仁(2008)『両親の役割受容, 親役割行動と思春期にある子どもの精神的健康との関連』 (日本小児保健協会 小児保健研究オンラインジャーナル(隔月刊))2024年8月31日閲覧
髙見三奈、佐藤幸子、塩飽仁(2009)『親の役割受容と親役割行動が子どもの評価する家族機能と精神的健康に与える影響』(一般社団法人 日本看護研究学会)2024年8月31日閲覧