SST(ソーシャルスキルトレーニング)は発達障害の方のだけでなく、グレーゾーンの方やコミュニケーションが苦手な方にとっても有効です。
【コミュニケーションが上手くなりたい】
「コミュニケーションが上手くなりたい」
誰しも一度は思ったことがあるのではないでしょうか。
同時に「自分はコミュニケーションが上手くない」と思っている人が多いのではないでしょうか。
コミュニケーションというは何をもって「上手い」と言えるか基準があいまいで、それ故に苦手意識を持つ人は多いでしょう。
【人間関係は複雑だ】
基準があいまいというのはある意味コミュニケーションが複雑な営みであるということを示します。
コミュニケーションが複雑になる理由は、
人間関係が複雑だからです。
なぜ複雑なのでしょうか?
それは「状況によって対応を変えなければならない」からです。
「状況によって対応を変える」ことができればコミュニケーションは上手くなります。
コミュニケーションが上手くなればコミュニケーションは複雑なものではなく簡単なものになります。
【「コミュニケーションが上手くなろう=外向的になろう」という誤解】
「コミュニケーションが上手い人」と聞くとどのような人を想像するでしょう?
・誰とでも仲良くなれる
・いつも誰かと予定が入っている
・遊ぶ人に困らない
・みんなから頼りにされている
・誰からも好かれている
などなど。
外向的なリア充を想像する人、多いのではないのでしょうか。
しかし、コミュニケーションが上手い人は必ずしも外向的であるとは限りません。
先ほど書いた通り、コミュニケーションが上手いとは「状況によって対応を変える」ことが上手い人だからです。
【状況によって対応を変える「程度」】
不器用な人ほど物事を0か100で考えます。
「状況によって対応を変えましょう」と言われると途端に八方美人になる人がいます。
状況に合わせなくちゃと必死になるのです。
でも八方美人は長期的には良い人間関係は築けませんし、自分自身も疲れてしまうでしょう。
何でもかんでも状況に合わせなくていいです。
程度の問題なのです。
ほどよく状況によって対応を変えるのです。
【「ある程度」ってどのくらい?】
「程度」は人や状況によって異なるのが前提ですが、目安がないとわかりにくです。
「状況によらず自分の意思を通す」
「状況を見て相手に合わせる」
この割合をどのくらいにしたら良いでしょう?
「状況によらず自分の意思を通す」40%
「状況を見て相手に合わせる」60%
このくらいを目安に始めてみましょう
ポイントは、
・半分以上は状況に合わせる。
・しかし周りに流されない。
です。
例えば誰かと食事に行くとき、食事に行った回数全体のうち、半分以上は状況を見て客観的な判断をしましょう。
そして時折自分の食べたいものや行きたい場所を表明します。
【状況によって何を変えればいいのか?】
「状況によって対応を変える」とは臨機応変に対応するということです。
言葉ではわかるけど実際にできないからコミュニケーションに苦労する。
そう感じる人も多いでしょう。
臨機応変とは具体的にどうすればいいのでしょう?
状況によって一体、何をどう変えればいいのでしょう?
以下で見ていきます。
【状況によって「感情」を変える】
人の感情は変化します。
その日その時間でも違いますし、年齢や時期によっても変化します。
人は感情に振り回される生き物です。
あるいは人は感情に振り回されるリスクを常にはらんだ生き物です。
それと同時に、この状況では相手にこのような感情でいてほしいという願望が人にはあります。
自分が悲しいときは、相手にテンションが高くあってほしくありません。
自分がうれしいときに、相手がイライラしていたら嫌です。
みんなで盛り上がっているときに、それを諭すような態度はめんどくさいです。
例を挙げればきりがありません。
しかし原則は
・穏やかに笑顔でいることが最も無難であること
・しかし相手の感情がわかり次第、速やかに同じ感情を共有すること
上記に2点に尽きます。
【状況によって「行動」を変える】
状況に合わせて自分の行動を調整することも必要です。
行動というといろいろあってどんな行動をどう変えたらいいか混乱してしまいます。
そこであえてシンプルに捉えるため、変える対象となる「行動」を一つに絞ります。
変える対象となる行動はスバリ「引き際」です。
コミュニケーションが始まったとき、いろいろな引き際を考えるのです。
いつ自分がしゃべるのをやめるか
いつ帰るか
いつ終わりにするか
やめるタイミングを見極めることに意識を集中するだけでコミュニケーションはいくらか上手くなります。
自分からやめることができない人ってけっこう多いです。
人が好きだから、人とコミュニケーションをとることが楽しくて、自分でやめられない。
自分からやめられない人は毎回終わりを他人任せにします。
首尾よく自分から終われない人は人からめんどくさがられます。
「このくらいで終わったほうが相手も自分もめんどくさくないな」というタイミングを探すことを心がけていくのです。