ワーキングメモリと短期記憶の違い
ワーキングメモリと短期記憶の違いは、保持した記憶を操作するか否かです。
情報を一時的に覚えておくという点はワーキングメモリも短期記憶も共通です。
ワーキングメモリは情報の保持に加えて、それを主体的に操作する力を持ちます。
例えば、4桁の数字を覚えてそれを逆から言う場合、数字を忘れないようにしながら同時に数字を逆にする力が必要です。
このようにワーキングメモリは覚えたことをもとに何らかの処理を必要とする際に活躍します。
解説
ワーキングメモリとは?
日本心理学会の論文によると、専門的にはワーキングメモリは「情報を一時的に保持しながら操作を加える認知機能」とされています。
この「操作を加える」という力がワーキングメモリの特徴であり重要な点であると言えます。
一時的に情報を覚えて、それを使って何らかの作業をすることは、日常生活で欠かせない力の1つです。
長期記憶と短期記憶
例えば子供の頃の思い出は何年経っても覚えている人が多いでしょう。
こういった何年たっても忘れない自分に染みついているような記憶を長期記憶と言います。
一方で、年賀状に書いた友人の住所はそのときは覚えていてもあとになると忘れてしまっているものです。
こういった一時的に覚えた記憶を短期記憶と言います。
短期記憶とワーキングメモリの特徴
短期記憶は情報を一時的に覚えるだけの、ある意味で受動的な機能と言えます。
これに対してワーキングメモリは覚えた情報を使って何かを処理するという能動的な側面があります。
このように、
ワーキングメモリは短期記憶と異なり目的志向的な能力であると言えます。
参考資料
『実行機能の初期発達,脳内機構およびその支援』(心理学評論刊行会)2021年11月6日検索
『ワーキングメモリトレーニングと流動性知能』(日本心理学会)2022年8月6日検索
『発達障害のある児童のワーキングメモリは改善できるのか–広汎性発達障害のある児童を対象とした試み』(東北福祉大学機関リポジトリ)2022年8月6日検索
『Training of Working Memory in Children with ADHD』(ResearchGate)2022年8月6日検索
『前頭前野とワーキングメモリ』(日本高次脳機能障害学会)2022年8月6日閲覧