旧優生保護法の違憲性が問われる裁判
15歳で強制不妊手術を受けたとして、旧優生保護法の違憲性が問われ裁判が起こっていますね。
概要としては、
・知的障害を伴う60代のその女性は15歳のとき不妊手術を本人の承諾なく受けたらしい。
・これに対し親族および支援者のサポートを受け国に対して裁判。
・憲法の幸福追求権を奪ったとして、優生保護法の違憲性を問うている。
といった内容です。
今回のニュースをきっかけに、今は改正されましたが(旧)優生保護法などいろいろ勉強していきたいと思います。
優生保護法とは?
まず、優生保護法とは1948年頃に制定された昔の法律。今はもうありません。
優生保護法の内容はすごく平たく言うと不妊手術や中絶行為を合法化するための法律。
「母体保護」の側面
上記のように聞くとちょっと怖いですね。
けれどその背景には無理のある出産に伴って親の方が命を落としてしまう事態を避けるための母体保護的な側面もあったようです。
優生保護法が善か悪かはちょっとおいておいて、
この「母体保護」については当時女性議員を中心にけっこう必要性が主張されていたようです。
「子供を産むことは尊いことだけど、その結果として母体が命を落とす可能性があるなら、中絶という選択肢も合法的に選べるべきだよね」といった発想が母体保護。
「優生学」の側面
しかしながら優生保護法は母体保護だけを目的にあったわけではありません。
優生保護法の背景のもう1つは優生学。
要するに「良さげな遺伝子を人類が残せるように生まれてくる人をコントロールしよう」といった発想ですね。
まあ、なかなか昨今の社会には受け入れられにくい発想ですね。
優生保護法のその後
そんな優生保護法ですが、歴史的にはちょこちょこ改正されて微妙にニュアンスが変わったりした背景もあるようです。
優生保護法の内容はいくつかあります。
中には「母親の経済的な理由だけで中絶することは良くない」といったものや、「子供に重度の障害がある場合には中絶を合法化」といったけっこうショッキングな内容も含まれているわけです。
「母親の経済的な理由で~」のあたりは女性団体から反発を受け、「子供に重度の~」は障害者団体から反発を受けたわけです。
いずれにせよ優生学的な色合いを帯びたこの優生保護法は結局改正されることになります。
母体保護を主においた母体保護法へとなり現在に至るわけです。
まとめ
まあ、そんな感じの優生保護法および母体保護法でした。
調べる前は優生保護法って優生学的な背景しか考慮されてない法律なのかなと思っていました。
しかしながら実際は一部とはいえ母体保護の側面も含んでいたんですね。
また、冒頭のニュースについてですが、そもそもこの女性は幼い頃の手術が原因で知的障害を伴ったらしいんですね。
細かい経緯はわかりませんが、仮に後天的に障害を持った方だったとしたら、そもそも優生学とか以前に議論は別の問題に発展しそうな気がしますね。
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参考資料
『母体保護法』(ウィキペディア)2018年1月31日検索
『国民優生法』(コトバンク)2018年1月31日検索