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【発達障害と思春期】情動への自己理解

公開日:2024年12月16日


 
 

情動への自己理解

 自閉症スペクトラム障害(ASD)の人は、定型発達と比べると、情動に関する自己理解に否定的な傾向がうかがえます。

 つまり、「マイペース」「鈍感」「せっかち」「神経質」など情動に関する自分の特性を、ネガティブにとらえるケースが定型発達より多いようです。

 
 
 

解説

発達障害と自己理解の研究

 日本発達心理学会の論文に、自閉症スペクトラム障害者の自己理解について調査・研究したものがあります。
 定型発達の人と発達障害者を対象に、自己理解について答えてもらいその回答傾向を分析したものです。

 「自分はどういう人間なのか」自覚できることは、アイデンティティを確立する上で重要な要素の1つでしょう。

 自己理解を行う上での要素は様々あります。
 外見や社会的地位、普段の言動は自己理解を行う上での材料となるでしょう。
 そして自分の気質を表すような「情動」に関することも、自己理解の要素と言えます。

 自閉症スペクトラム障害者の場合、定型発達と比べて自己理解に特徴的な傾向があると考えられています。

 
 

自己理解における解釈

 情動についての自己理解について、定型発達の人は肯定的な言及が多かったのに対し、自閉症スペクトラム障害の人は否定的な言及が多かったようです。

 例えば「鈍感」という自己理解はポジティブにもネガティブにも解釈することが可能です。
 ストレスに対して鈍感でいられることは長所ですし、人の感情の機微に鈍感でそれがトラブルの元となるなら短所とも言えます。

 このことより、自閉症スペクトラム障害の人は、「自己愛的脆弱性」があると考えられています。

 「自己愛的脆弱性」とは、自分の存在意義を揺るがす不安や傷つきに対して、対処が苦手であるということです。

 自己愛的脆弱性があると、自己肯定感が揺るぎやすく、心理的安定に支障が出ると考えられています。

 
 
 

発達障害と自己理解

 
 
 

参考資料

滝吉美知香、田中真理(2011)『思春期・青年期の広汎性発達障害者における自己理解』(一般社団法人 日本発達心理学会)2024年9月14日閲覧

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