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【発達障害と思春期】対人関係を介さない自己理解

公開日:2024年11月17日


 
 

対人関係を介さない自己理解

 自閉症スペクトラム障害の人は自己理解において、身体的特徴や外的所属、行動スタイルに注目しやすい傾向があります。

 「自分はどういう人間か?」を説明する際、対人関係を通した特徴よりもそれ以外の側面で説明をすることが多いということです。

 対人関係と通した特徴とは、例えば「人によく話しかけられる。私は会話で聞き手に回ることが多いんです」といった人との関りの中で自分を知るようなケースです。

 これに対し、身体的特徴とは文字通り「背が高い」といったもの、外的所属とは「専門職に就いています」といった社会的地位、行動スタイルとは「朝方の生活をしています」などです。

 
 
 

解説

発達障害と自己理解の研究

 日本発達心理学会の論文に、自閉症スペクトラム障害者の自己理解について調査・研究したものがあります。
 定型発達の人と発達障害者を対象に、自己理解について答えてもらいその回答傾向を分析したものです。

 「自分はどういう人間なのか」自覚できることは、アイデンティティを確立する上で重要な要素の1つでしょう。

 そして自閉症スペクトラム障害者の場合、定型発達と比べて自己理解に特徴的な要素があると考えられています。

 
 

視覚的に認識しやすい自己

 冒頭で述べた通り、自閉症スペクトラム障害の人は自己理解において身体的・外的属性および行動スタイルに注目しやすい傾向があります。

 その背景としては、自分の身体や所属、典型的な行動や興味対象は事実として視覚的に認識しやすい点が考えられます。

 つまり他者との関りの中で「自分はどんな人間か」と語るよりも、客観的な事実やわかりやすい事象での説明を好むと言えます。

 もちろん、あくまで傾向の話であり障害の有無によって自己理解の仕方が完全に決まるわけではありません。

 しかし「自分とはどんな人間か」と考える上で、どういった出来事を材料にするかその傾向を俯瞰できることは有意義でしょう。

 
 
 

発達障害と自己理解

 
 
 

参考資料

滝吉美知香、田中真理(2011)『思春期・青年期の広汎性発達障害者における自己理解』(一般社団法人 日本発達心理学会)2024年9月14日閲覧

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