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助数詞の評価と分析
子供の助数詞の理解についてエラー検出法で評価した場合、年長に相当する5~6歳頃の幼児は助数詞の誤りを比較的指摘できています。
しかしながら、正しい助数詞を自ら呈示することは難しさもあるようです。
傾向として、存在論を超えた誤りのほうがよく指摘できており、これは子供の助数詞の獲得において興味深い過程と言えるでしょう。
解説
エラー検出法の概要
助数詞の評価におけるエラー検出法では、パペットが誤った数助詞の使用をしたときに子供がそれを指摘できるかを見ていきます。
年少・年中・年長の幼児にそれぞれ評価を行ったところ、正答率に有意差が見られたようです。
年長児は、年少・年中と比較すると助数詞の誤りをよく指摘できた様子がうかがえます。
助数詞理解の年齢特異性
これより、助数詞の理解は5~6歳頃に深まっていくことが考えられます。
また、助数詞の理解・発達には年齢特異性があるとも考えられます。
年齢特異性とは「ある年齢で特徴的な経過・変化が見られる」ということです。
子供の発達は個人差がありますが、それらを客観的に評価する上で年齢特性のある項目をチェックしていくことが有意義でしょう。
存在論カテゴリーの枠組み
回答の傾向として、存在論カテゴリーを超えた誤りはそうでない場合よりも子供はよく指摘できています。
つまり「猿」を「1人」と誤る場合よりも「1台」と誤った場合のほうが子供がよく気がつくということです。
(この場合、「1人」は「匹」と同様に動物に用いる助数詞ですが、「台」は非動物に用いる助数詞と言えます)
逆に言えば存在論カテゴリーを超えない助数詞の使い分けはより難しいと言えるでしょう。
これは助数詞の指導に関して手掛かりとなるかもしれません。
言葉の発達から見る助数詞
参考資料
佐藤賢輔、針生悦子(2006)『幼児における助数詞の理解 : 存在論的カテゴリーに注目して』(一般社団法人 日本発達心理学会)2024年9月28日閲覧