変わっていく実習指導
リハビリの職種である理学療法士(PT)、作業療法士(OT)、言語聴覚士(ST)になるためには臨床実習をクリアすることが必要です。
そして実習における指導方法が従来方式から「クリニカル・クラークシップ(CCS)」へと移行しつつあります。
この背景には、
従来の実習は実践的でないわりに、実習生や指導者への負担が大きいというデメリットがあります。
今日は、従来の実習指導の方式とその問題点について考えてみます。
従来の実習指導の方式
病院によって微妙に実情は異なるでしょうが多くの場合、
従来の実習では実習生に担当のケースを何症例か担当させ、その患者さんのリハビリを行うことが主でした。
つまり担当の患者さんに対して実習生が自身で考え、検査や評価を行い、実際のアプローチを行う。
そこで不足や不手際がありそうなら、適宜指導者が指導する。
そして実習生は日々どんなアプローチを行ったか日報(デイリーノート)を作成しつつ、最終的に患者さんにどのような評価・アプローチを行ったのかの症例レポートを作成します。
また、評価やアプローチを行う際の医学的根拠や学習を掘り下げる意味で課題レポートの提出を指導者から課せられることもあるでしょう。
このように、
担当の患者さんを持ちながら、デイリーノート・症例レポート・課題レポートを作っていくというのが従来の実習指導の基本的なかたちになります。
従来の実習指導の問題点
従来の実習の問題点として、「実践的ではない」「実習生・指導者共に不要な負担が大きい」という点がしばしば指摘されていました。
「実践的ではない」というのは、
例えば担当した患者さんに適用されない評価方法やアプローチを学ぶ機会が不足するということです。
良くも悪くも実習が担当する症例次第になってしまうのです。
「実習生・指導者共に不要な負担が大きい」というのは、
書類を書く時間が多い。指導者もそれをチェックするのがたいへんということです。
書面にまとめることも大切ですが、せっかくの実習ならできるだけ目の前の患者さんと実際に見てやってみながら経験を積む方が有意義です。
しかし従来の実習だとどうしても「実習をクリアするためにレポートをちゃんと作る」ということに意識が向きがちです。
おわりに
以上のように、実践面や効率の良さを考えて、近年は実習のあり方が見直されつつあります。
また、従来の実習の場合、「実習生がケースのアプローチを自ら考える」という方式をとります。
これは経験が少ない学生からすれば手詰まりになることが多いです。
また、指導者としても、当然アプローチを行う前に確認はするでしょうが、それでも学生が自分で考えて患者さんにアプローチをするというのは間違いや事故が怖いものです。
こういった経緯から、
まずは指導者が「こういうふうにやるんですよ」と見本を提示し、それを模倣しながらリハビリのスタンダードな手技を学生が学んでいくクリニカルクラークシップの方式が注目されています。