言語聴覚士(ST)の臨床実習の制度についてです。
1. 臨床実習とは?
言語聴覚士(ST)になるためには養成校(大学あるいは専門学校)在学中に臨床実習をこなすことが必須です。
実習の内容は学校および実習先の方針によってかなり幅があります。
これはリハビリという分野の幅の広さ、症例の状況・状態によって変わる治療方針の多様さからくるものです。
ケースバイケースな点が多くて一概に実習方針を決めにくい背景があるわけです。
しかしながら、言語聴覚士は医療分野の国家資格。
もちろん最低限の実習規定はあります。
以下、厚生労働省および言語聴覚士協会が定める臨床実習のガイドラインから実習の内容や決まりをみていきます。
2. 実習の日数は何日必要?
言語聴覚士になるためには480時間以上の実習をこなすことが必要になります。
480時間の実習は1つの期間に一気にこなすのではなく、在学中に分割してもOKです。
ほとんどの学校は「3年生で○○週間の実習、4年生の前半に○○週、後半に○○週」といった感じで分けられているでしょう。
実習は実際に病院に行きます。
病院の職員は1日8時間勤務をしてると考えると、
480÷8=60
1週間は土日休みと考えると5日。1か月は4週間と考えると、
言語聴覚士になるめには在学中に合計60日間(約3カ月)の実習をこなす必要があります。
また、実習のうち3分の2以上を病院または診療所で行うこととなっています。
言語聴覚士は老人ホームなどの勤め先もありますが、あくまで実習では医療的スキルも身につけるため病院でといったところなのでしょう。
ちなみに実習先の病院は専用の訓練室および実習を行う上に必要な機械器具を有することが条件。
どんな病院でもいいというわけではなさそうです。
3. 学生指導できるのはどんな人?
実習の際、実際に指導する言語聴覚士の人をバイザーと言ったりします。
バイザーは5年以上の臨床経験を有する専任の言語聴覚士であることが条件。
また、同じ期間にバイザー1人が担当する学生の数は原則2人までとされています。
学生を指導していいか否かの基準が具体的なスキルではなく、年数であることは今後と課題であるとガイドラインでもしばしば議題になってはいるようです。
4. まとめ
以上のように、割と実習の規則というのは共通したものが少なく、各大学・病院に任せられている現状がありそうです。
実習中に練習する言語検査なども、「○○はとれるようになったほうがいい」というのはありますが、「実習中は絶対これができないといけない」とまではないです。
学生が担当する患者さんによって、行う検査やリハビリ内容が大きく異なるからです。
5. その他の記事
6. 参考資料
『臨床実習マニュアル』(日本言語聴覚士協会)2018年6月24日検索
『言語聴覚士養成所指導ガイドラインについて』(東京都福祉保健局)2018年6月24日検索
『言語聴覚士養成教育ガイドライン モデル・コア・カリキュラム(第2次案)』(日本言語聴覚士協会)2018年6月24日検索