障害を持ったお子さんに対する医療的・福祉的・教育的なサポートを総合して療育と言います。
もちろん療育は社会福祉的な側面もあり、一般的な利益重視の仕事とは微妙にニュアンスは異なります。
しかしながら仕事として、経営として、あるいは利用する側からしても療育というものがどのようなシステムで利益を出し成り立っているのかは気になるところです。
今日は療育の利益の出し方について考えます。
療育には様々な形態がありますが、その形の1つに個別療育があります。
専門的な知識を持ったスタッフが文字通りマンツーマンで運動や勉強の指導をする形式です。
この個別療育の利益の仕組みを見ていきましょう。
まず個別療育のシステムには大きく2つあります。
1つは医療行為としての療育。
もう1つは医療行為としてではない療育。こちらは自由診療と呼ばれることもあります。
医療行為としての療育と医療行為としてではない療育。
この2つの違いはなんでしょう?
医療行為としての療育の場合、
医師の処方箋に基づいて国家資格を持つリハビリスタッフが療育を行います。
・医師の処方箋
・リハビリの有資格者
という2つの条件がいるわけです。
この条件のどちらか一方、あるいはどちらも満たしていない療育が後者の医療行為でない療育となります。
ちなみにリハビリスタッフとは具体的には理学療法士・作業療法士・言語聴覚士を指します。
医療行為であるリハビリの場合、医師の診断に基づいてリハビリスタッフが療育を行います。
医療行為であるので健康保険が使えます。
つまり医療行為であるリハビリの場合、本人および保護者の自己負担額は非常に少ないです。
基本は一般の病院受診のような3割負担。
療育の対象がお子さんで、乳幼児医療証などがあれば負担額は0円であることもあるでしょう。
医療行為である療育は、平たく言うとリハビリなわけです。
ではリハビリという仕事ははどのように利益を出しているのでしょう?
リハビリは多くの医療行為と同様に診療報酬が主な利益となります。
診療報酬とは簡単に言うと、
「○○という医療行為をしたら○○円」という国の定めた基準です。
診療報酬は点数で表され、1点=10円と計算されます。
それでは本題です。
療育の1回あたりの利益ってどんな感じなのでしょう?
一番ありがちで、最も公的な療育のシステムで考えます。
つまり医療行為に該当する療育です。
医療行為の該当する療育は先述の通り、簡単に言うとリハビリです。
「障害を持ったお子さんに対するリハビリ」なわけです。
リハビリは診療報酬により利益を得ます。
ではこの「障害を持ったお子さんに対するリハビリ」の診療報酬っていくらなのでしょう?
リハビリは20分を1単位とします。
例えば、6歳未満の障害児のリハビリは1単位で225点です。
つまり6歳未満のお子さんの療育は20分あたり2,250円。
もっとも、1回の療育が20分というのは短いでしょう。
多くの施設では、1回あたりの療育は40~60分くらい。
60分は20分×3ですね。
つまり2,250円×3です。
このように考えると、
6歳未満のお子さんの療育は1時間あたり6,750円ということになります。
40分が1コマであれば4,500円です。
健康保険により自己負担額では実感する機会は少ないですが、
療育は1時間あたり6,750円かかっているわけですね。
ちなみに今回は診療報酬を225点で考えましたが、
診療報酬はリハビリを受ける方の年齢や疾患、施設側の設備の充実度によっても異なってきます。
1単位(20分)あたりの診療報酬が225点よりも多少高い場合もあるし低い場合もあります。
参考として、例えば年齢別で見ると障害児(者)リハビリテーション料は
・6歳未満:225点
・6歳以上18歳未満:195点
・18歳以上の患者:155点
といった感じです。
ちなみに上記はリハビリの場合。
リハビリを行うためには医師の処方箋やリハビリの資格、きちんとした設備を設けるといった施設基準などが必要です。
これらを満たしていない場合は診療報酬は発生しません。
医療行為としてではない療育の場合、療育費用は経営者のさじ加減になります。
診療報酬よりも高い場合もあるし低い場合もあるでしょう。
しかしながらいずれにせよ、自己負担額では「医療行為としてではない療育」のほうが高くなる傾向があります。
ちなみに「医療行為としてではない療育」は例えば「ことばの教室」などと言われることがありますね。
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【就活】障害児療育に関わる仕事、職種一覧
【引用・参考サイト】
『H007 障害児(者)リハビリテーション料(1単位)』(PT-OT-ST.NET)2018年1月25日検索