自閉症や学習障害、ADHD、アスペルガー症候群など近年よく言葉が知られつつある発達障害。
将来、発達障害児に関わるような仕事に就きたいと思っている人もいるかもしれません。
発達障害児に関わる仕事でまず思いつくのは教師ではないでしょうか?
自閉症児の先生になりたい。発達障害の子に勉強を教えたい。
発達障害に限ったことではありませんが、
障害を持ったお子さんに対する配慮ある教育を特別支援教育と言います。
発達障害の子を対象にした先生とは、特別支援教育に携わる教師を指します。
教師として発達障害のお子さんに関わる場合、そのパターンはいくつかあります。
1つは特別支援学校の先生です。
特別支援学校とは障害を持ったお子さんを対象にした学校ですね。
もう1つは支援クラスの先生です。
支援クラスとは学校の中にある、障害を持ったお子さんを支援するクラス。
一昔前は特殊学級なんて呼ばれていましたね。
特別支援学校も支援クラスも障害全般を対象にしています。
さらに特別支援学校の場合、あくまで傾向ですが支援クラスよりも知的な面や身体面にも障害を持っているお子さんが多いです。
特別支援学校は普通クラスや支援クラスよりもより濃厚なサポートは必要とされるお子さんが通うからです。
発達障害というのは、知的障害を伴うこともありますが伴わないこともあります。
よって、知的障害を伴わないあるいは軽度の知的障害を伴う発達障害のお子さんと関わる機会は支援クラスの方が多いでしょう。それより重度の知的障害や身体面のサポートが必要なお子さんとの関わりは特別支援学校の方が多いでしょう。
特別支援学校は支援クラスよりも重度の知的障害・身体障害を伴うお子さんが通う傾向があります。
そのため特別支援学校では勉強を教えるだけでなく、身の回りのことや日常のことなど指導することが多岐にわたります。身体的にできることが限られるお子さんの場合は、介護的なサポートが必要になる場合もあります。
このように考えると、特別支援学校の先生とは「発達障害の子に勉強を教える」だけでなく「広く障害を持ったお子さんをサポートする」という側面が強い。
発達障害のお子さんに読み書きや計算、友達のと関わり方や進路指導などを行う機会は、支援クラスの先生のほうが多いと言えます。
支援クラスは普通クラスと比べると明らかに少人数クラスで、マンツーマンかそれに近い形で指導を行います。
指導方法は1つのやり方には縛られず、そのお子さんの発達状況に合った指導を行っていきます。
また、発達障害のお子さんは学校以外でも放課後デイや療育施設など他の場所でもサポートを受けている場合があります。
他施設や他の職種との情報交換や連携も大切です。
発達障害児に対する教育は、当然ながら発達障害の特性を配慮した教育になります。
例えば切り替えの困難さ。
時間割やスケジュールをわかりやすく視覚化したりして活動の見通しを立てます。
このような配慮を構造化の一種です。
聴覚や触覚など感覚に生まれ持った過敏がある場合は配慮します。
声の大きさや相手との距離など行動調整も視野に入れます。
相手の心情を読みとることなどソーシャルスキルを指導することもあるかもしれません。
発達障害のお子さんに関わることは、やはり発達障害特有の言動に頭を抱えることもあるでしょう。
どこまでを障害として配慮し、どこまでを教育として指導すべきか。ここが悩みどころです。
学習にやる気が出ていないお子さんの背景が、ADHD的な背景なのか家庭環境なのか自分の教え方なのかあるいはその子自身の甘えなのか。
「障害特性だから」と配慮すべきか「しっかり集中しますよ」と指導するべきなのか。
結局のところ「配慮」と「指導」の明確な判断基準はなくて、その子自身を知る中で考えていくしかありません。
このさじ加減は健常なお子さんの教育でも見られることかもしれませんが、発達障害児のお子さんの場合特に見極めが難しいでしょう。
近年、「障害」を「障碍」という字にするという風潮もちらほら出ています。
「障碍」とは「能力がフタのような物で遮られている」といったニュアンスがあります。それは「害」ではないということです。
発達障害を持つお子さんを関わる中で、そのお子さんの見えない「フタ」を少しでも開けてあげられるような教育をしたいものです。
その他の記事
小児分野の言語聴覚士(ST)ってどんな感じ?