殴り書きの時期
子供のお絵描きにおいて殴り書きはどのくらいの時期に見られるものなのでしょう。
ここで言う「なぐりがき」とは、
線でも図形でもない乱雑な線を、
子供が何かを慎重に描こうとする意図がなく、
ただやみくもに描くような状態として考えます。
個人差はありますが、
なぐりがきは1歳~2歳頃に見られます。
殴り書きの根拠
子供の発達を見る検査である
遠城寺式乳幼児分析的発達検査によると、
殴り書きは1歳前後の項目と位置づけらています。
また他の検査として津守式乳幼児精神発達質問紙においても同様に殴り書きは1歳頃の発達項目として考えれています。
さらにその後の発達の経過をみていくと、
子供は2~3歳頃に丸を描けるようになっていきます。
子供の意図的な筆記動作としては、
まず挙がるのは縦線・横線といった直線、そして円です。
個人差はあるかもしれませんが、
円は子供がはじめに描ける最も簡単な図形になります。
この円を意図的に描けるのが2~3歳頃です。
以上を踏まえると、
1~2歳の時期が殴り書きの時期と考えられるでしょう。
殴り書きの実際
先ほど書いた通り、
子供のお絵描きはまず殴り書きからはじまり、
続いて直線や円、そして四角や三角といった図形を描けるようになっていきます。
そうして基本の直線や円、直角や鋭角の筆記動作を習得し、文字を書くことへ移行していきます。
殴り書き
↓
直線や円
↓
図形
↓
文字
と上達していく中で、当然ながら筆記動作はより細かく繊細なものを必要としてきます。
「描く」という行為は様々な身体のバランスをもって成り立つわけですが、
比較的わかりやすいポイントが腕の接地です。
殴り書きの頃は腕がどこにも机につかず非常にダイナミックに腕が動きます。
これが上達するに従って「肘」や「手首」が机に接地しより細かい動きを可能にしていきます。
おわりに
子供の発達には個人差がありますから、
あくまで目安として捉えてもらえれば幸いです。
実生活ではその子自身のペースを大切にしてあげましょう。
ちなみに「殴り書き」から「円」を描く間のステップとして「ぐるぐる丸」があります。
円は当然ながら「〇」のことで、
描き始めと描き終わりがちょうど結ばれることで円になります。
この前段階である「ぐるぐる丸」の場合は描き終わりが描き始めの場所で止まることができず、文字通りぐるぐると曲線が続きます。
このぐるぐる丸を経て子供達は始点と終点がきちんと結ばれた円を描けるようになっていきます。
参考資料
『遠城寺式乳幼児分析的発達検査法について』(認知神経科学会)2023年3月18日閲覧