二項関係とは?
二項関係とは、その人が他者や物に注意を向けている状態のことです。
例えば子供が母親のいないないばぁで笑った場合、子供は母親に注意が向いていることがわかります。
つまり「子供‐母親」という二者の関係が成り立っています。
子供の発達における「二項関係」とは、このようにその人と何かという二項の関係性が成立していることを指します。
二項関係は何歳から?
二項関係は「人-人」、「人-物(事)」という大きく分けて2種類があります。
「人-人」とは、先ほどの例になるような「子供が母親のいないないばぁで笑う」といった状況です。
これは言い換えると「私-他者」の二項関係であると言えます。
これに対し
「人-物(事)」の二項関係とは、例えば子供がおもちゃのガラガラに興味を持って意図的に遊んでいるような状況です。
日本発達心理学会の論文によると、
「私-他者」の二項関係は生後0~4か月頃に形成され、
「人-物(事)」の二項関係は5~9か月頃に形成されると考えられます。
二項関係の実際
二項関係は生後1歳未満で形成される行動ですから、普段の生活の中ではあまり意識しない概念かもしれません。
しかし重症心身障害や重度の知的障害、自閉症スペクトラム障害などのお子さんと関わる機会があると二項関係、あるいはその後に形成される三項関係の大切さがわかります。
二項関係とは何かに注意を向けることができる力です。
当然ながら注意が向いていないとその物を楽しんだりその人と楽しむことはできません。
おもちゃがあっても全く遊ばない。
語りかけても全然こっちを意識していない。
こういった状態は二項関係が成立していません。
いかに「その子が興味のある物は何か」を見つけ出し、二項関係を成立させることができるかがその子の楽しさの第一歩になります。
おわりに
子供の発達には個人差がありますから、
あくまで目安として捉えてもらえれば幸いです。
実生活ではその子自身のペースを大切にしてあげましょう。
二項関係である「私-他者」・「人-物(事)」の関係性を獲得すると、これらを組み合わせて三項関係の形成へと発展していきます。
三項関係は他者との共感や共有における非常に重要な要素です。
特に自閉症スペクトラム障害(ASD)などの発達障害児のコミュニケーションでは重要な概念となっていきます。
補足記事
参考資料
『「心の理論」成立までの三項関係の発達に関する理論的考察 : 自閉症の諸症状と関連して』(日本発達心理学会 J-STAGE)2020年7月4日検索
『自閉症児の共同注視と言語発達』(日本高次脳機能障害学会 J-STAGE)2020年7月4日検索