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音韻分解・抽出能力のトレーニング
「遊び」はその子が興味を持てるよう、臨機応変に遊びを工夫してあげることが一番大切です。
言葉の音を区切り操作できる力である音韻意識。
音韻意識を高める場合は音韻の分解・抽出を促せるよう、
遊びの中に言葉の音の抜き出しや入れ替え、逆唱や類似語の想起などを盛り込みます。
いずれにせよ
「遊び」ですからその子が興味を持てるよう、型にはまらず臨機応変に遊びを工夫してあげることが一番大切です。
子供が特定の力を遊びの中で学ぶには、大人の工夫と柔軟さが必要になってきます。
以下、音韻意識を高める遊びの考え方と実例を。
音韻の分解と抽出
音韻意識は、音韻分解能力と音韻抽出能力がポイントになってきます。
分解とは、「くるま」という言葉が「く・る・ま」と3つの音から構成されていることがわかることです。
抽出とは、「くるま」の最後の音は「ま」であると、単語から個別の音を抜き出して考えることができることを指します。
そのため音韻意識により、
- 単語の音の数がわかる力
- その音がつく単語の想起
- 言葉を反対から言う(逆唱)
- 言葉の音を入れ替える・抜き出す・付加する
といったことができるようになっていきます。
こういった能力に着目して、遊びを設定していきます。
音韻意識を高める遊び
しりとり
しりとりは音韻意識に関する代表的な遊びの1つです。
単語の語頭・語尾の音を抜き出すことにつながります。
言葉を区切る
言葉の数だけ手や太鼓のおもちゃを叩いてもらいます。
例えば「くるま」なら3回叩いてもらいます。
じゃんけんで進む
じゃんけんをして、
「グー」で勝ったら「グリコ」
「パー」で勝ったら「パイナップル」
「チョキ」で勝ったら「チョコレート」。
言葉の数だけ進みます。
〜のつく言葉
「あ」のつく言葉は「アイス」や「雨」。
しりとりと関連しますが、「〜のつく言葉」もオーソドックスな音韻意識を高める遊びです。
1つの音に1つの単語ではなく、
1つの音で2〜3個単語を言ってもらいます。
「あ」なら「雨」で終わるのではなく、「アイス」「あり」など複数の単語を出してもらい、柔軟性をつけてもらいます。
言葉を逆から言う
「くるま」の反対は「まるく」。
言葉を逆から言うのも音韻意識の力が必要です。
紙に字を書いてしまうとすぐわかってしまうでしょうから、耳で聞いてもらいます。
最初は2〜3文字の短いもので。
逆さ言葉
「やおや」は反対から読んでも「やおや」。
「かさ(傘)」の反対は「さか(坂)」。
反対から言っても同じ言葉や別の言葉になる言葉を考えます。
先述の「言葉を逆から言う」よりも難しい課題です。
1文字変えて別の言葉
「くるま」を1文字変えると「くるみ」。
1文字変えて別の言葉にしていきます。
可能であれば、
「くるま」→「くるみ」→「まるみ」など、どんどんつないでいきます。
言葉で双六
絵カードによる山札からカードを引いて、例えば絵が「くるま」なら3つ双六を進めます。
サイコロの代わりに音韻意識を活用します。
おわりに
音韻意識の習得にも段階があります。
音韻意識はまず音節分解から芽生えその後にモーラ分解に至ります。
このあたりは
音節とモーラの違い
で詳しく扱いますが、
いずれにせよ
音韻意識がまだ不十分なお子さんにはまず「長音(ー)・促音(っ)・撥音(ん)」が入っていない単語を扱い、それができるようになってからいろんな単語を扱うようにしましょう。
その他の記事
参考資料
『健常児における音韻意識の発達』(J-STAGE)2020年4月1日検索
『子どもの音韻障害と音韻意識』(J-STAGE)2020年4月2日検索