応答の指さしについて
応答の指さしの教え方や練習方法
応答の指さしの練習方法としては、「文脈に依存した」「今ここ」の応答の指さしを教えていき、徐々に一般化していく方法が考えられます。
応答の指さしは細かくは3段階のステップがあり、この段階を踏んでいきながら簡単なものから難しいものへ徐々にステップアップしてくことが有意義です。
解説
応答の指さしとは?
応答の指さしは文字通り他者の応答に対して指さしで答えることを意味します。
例えば複数の動物が描かれてある絵本があって、ワンワンはどれ?」と聞かれて子供が犬の絵を指せるような行為です。
指さしにはその意図によりいくつかの種類があり、応答の指さしは指さしの中でも最後のほうに獲得される比較的難しい指さしになります。
このため、応答の指さしの獲得をもって指さしの完成とされることが多いです。
応答の指さしの発達段階
応答の指さしは細かく見ると3つの段階があります。
1つ目は、例えばその子がお母さんと一緒にいてお母さんの話をしている状態で、「ママは?」と聞かれて指をさせる状態です。
これは「文脈の中」かつ「今ここ」に限ってできる応答の指さしです。
この段階ではいきなり「パパは?」と聞かれても答えることができません。
2つ目は、例えば「パパは?」と聞いたときに、仕事に行っているため玄関を指さすなどです。
依然として文脈の中ではありますが、不在のパパを指させる点で「今ここ」から解放された指さしができています。
3つ目は、絵本を見せて「ワンワンどれ?」や、会話の中で「目はどこ?」といったことに答える応答の指さしの完成段階です。
この段階にて文脈からも脱却し表象(今ここにないものを認識できる)として指さしができます。
応答の指さしの教え方
応答の指さしの練習は上述のような3段階のステップで行っていきます。
つまりまずは目の前にある物・すでに話題になっているもので指さしを促します。
その後に不在の物を対象にし、最後に文脈から脱却した物を問います。
また、指さしが出ていなくても、対象の物に視線や体を向ける行為は指さしがもう少しでできる兆候です。
このようにその子の微妙な変化も観察しながら指さしを促していきます。
補足記事
参考資料
『自閉症幼児における応答の指さしと言語獲得』(神戸大学学術成果リポジトリ)2020年7月2日検索
『1歳児における叙述の指さしと他者との共有経験理解との関連』(J-STAGE)2020年7月2日検索
『指さし行動の発達的意義』(J-STAGE)2020年7月2日検索