応答の指さしとは?
応答の指さしとは、文字通り相手の質問に答えるような指さしです。
具体的には例えば絵本を子供と一緒に読んでいて、
「猫さんはどれかな?」
と親が聞いたときに子供が絵本の猫を指さす。
これが「応答の指さし」です。
応答の指さしは相互的なやりとりであり、子供の言葉やコミュニケーションの発達において重要な指標の1つです。
応答の指さしは何歳から?
神戸大学の論文によると、
応答の指さしは12か月前後から1歳後半に獲得されると考えられています。
子供の発達における指さしはその用途によって複数種類ありますが、
特に応答の指さしは他者との相互性の発達が必要であり、おおむね指さしの中で一番最後に獲得されます。
そのため
応答の指さしの獲得をもって指さしの完成とされることが多いです。
実際の応答の指さしの獲得過程
先述のように、例えば絵本を見ながら「猫はどれかな?」と聞いたとき猫を指させる。こういったものが応答の指さしです。
では応答の指さしは実際どのような過程を踏んで獲得されていくのでしょうか?
月齢には個人差はあるでしょうが目安としては、
まず、
1歳1か月~1歳2か月頃はそもそも「絵本の中のどれかを聞かれている」という文脈が子供は理解できておらず、課題自体が成立しません。
これが
1歳3か月~1歳5か月頃になると、
正解するかどうかは別としてとりあえず指さしをしてくれるようになってきます。
そして
1歳6か月~1歳8か月頃になると、
物の名前を言いながら指差しをして、答えることができるようになってきます。
この「名前を言いながら指さす」という行為は非常に興味深く、
まだ相手の問いかけが言葉で答える「呼称場面」なのか指をさして答える「指差しの場面」なのか厳密には区別がついていないということを示します。
いずれにせよ相互性が芽生えながら
1歳9か月~2歳3か月頃には
指をさす場面では適切に応答の指さしで答えることができます。
言葉を発する場合も「これ」など場面に応じた適切な言葉を発します。
おわりに
子供の発達には個人差がありますから、
あくまで目安として捉えてもらえれば幸いです。
実生活ではその子自身のペースを大切にしてあげましょう。
応答の指さしの獲得過程には、上記の通り「言葉を発しながら指さす」という時期があることがわかります。
言葉を発するという言語的な営みと、指差しという非言語的な営みがお互いにお互いの発達を促していることがわかります。
このように、子供の言葉の発達を促す際に、言葉を音で教え込むだけではいけないというのは重要な考え方です。
補足記事
参考資料
『自閉症幼児における応答の指さしと言語獲得』(神戸大学学術成果リポジトリ)2020年7月2日検索
『1歳児における叙述の指さしと他者との共有経験理解との関連』(J-STAGE)2020年7月2日検索
『指さし行動の発達的意義』(J-STAGE)2020年7月2日検索