精神障害者保健福祉手帳とは?
精神障害者保健福祉手帳とは、統合失調症や躁鬱病などの精神疾患を対象とした障害者手帳です。
手帳を取得することで適宜公的なサービスを受けることができます。
等級が1級から3級まであり、数字が小さくなるほど重度であることを示します。
手帳の制度と位置付け
「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律」に基づいて発行されるのが精神障害者保健福祉手帳です。
身体障害を対象とした身体障害者手帳、知的障害を対象とした療育手帳と並ぶ障害者手帳の1つです。
近年よく耳にする「発達障害」は、精神障害者保健福祉手帳の対象です。
身体障害者手帳は文字通り身体障害を対象にします。
例えば歩くことが難しく車椅子に乗っていれば、それは見た目でわかります。
身体障害はある意味で周囲が理解しやすい障害とも言えます。
一方で、療育手帳や精神障害者保健福祉手帳が対象とする知的障害や発達障害、精神疾患はパッと見ではわかりにくい側面があります。
これはつまり周囲の理解を得にくいということです。
療育手帳や精神障害者保健福祉手帳はこういった「目に見えにくい障害」を対象とした手帳とも言えます。
手帳の実際
精神障害者保健福祉手帳に関してしばしばあるのが、
「子供から大人になる中で精神障害者保健福祉手帳を取得したいけれど、窓口がわからない」
といったケースです。
これは知的障害も伴う自閉症スペクトラム障害(ASD)のお子さんによくあるケースです。
言葉の遅れがある発達障害のお子さんの場合、発達障害の症状それ自体というよりは、言葉の遅れがきっかけで診断に至ることが多いです。
このため、
知的障害と発達障害の両方を持つお子さんの多くは、療育手帳を先に取得することが多いです。
こうして支援を受けながら言葉も徐々に出てきて、年齢も重ね、今度は発達障害の側面から精神障害者保健福祉手帳の取得も視野に入れていきます。
しかしその頃には、
小児科はかかったことがあるけれど、かかりつけとなる精神科がないという状況になるわけです。
このため手帳の取得に伴う精神科を探すのが一苦労となるわけですね。
こういった場合は小児科から紹介してもらったり、市町村の窓口に相談することになるでしょう。
おわりに
同じ目に見えにくい障害ということで、精神障害者保健福祉手帳と療育手帳はなかなか違いがわかりにくい印象もありますね。
ちなみに、
発達障害と知的障害を両方持っている人に関しては、精神障害者保健福祉手帳と療育手帳を両方取得することが可能です。
この両方の手帳の取得に関しては、厚生労働省のウェブサイト上でも可能であることが明記されています。
専門家や市町村の福祉課などに相談しながら、自身が活用したい制度に合わせて柔軟に手帳を利用していきたいものです。
補足記事
参考資料
『障害者手帳』(厚生労働省)2020年6月6日検索
『身体障害者手帳』(厚生労働省)2020年6月6日検索
『精神障害者保健福祉手帳』(厚生労働省)2020年6月6日検索
『身体障害者障害程度等級表』(厚生労働省)2020年6月6日検索