少しの使いやすいゆとりが豊かさを生む
時間やお金など、ゆとりのある生活を送りたいと思う人は多いと思います。
ゆとりのある日々を過ごすための工夫としては、ちょっとした緊急事態に対応できる小さなゆとりを持っておくことが有意義と考えられます。
研究
すぐに借りられてすぐに返せるもの
貧困者がいちばん求めているのは金貸しが容易に提供できるもの、すなわち、緊急のニーズに対応するために、すぐに借りられてすぐに返せるような少額のお金である。ところが貧困者に提供される融資は、正反対の方針にもとづいて組まれることが多い。ある程度まとまった額のお金が、慎重に時間をかけて提供される。
いつも「時間がない」あなたに 欠乏の行動経済学より引用
行動経済学者のセンディム・ムッライナタン氏は上記のように述べています。
これは経済的な貧困の問題にとどまらず、多くの「ゆとりのない生活」に当てはまるのではないでしょうか。
例えば貯金が銀行にいくらかあっても、財布の中のお金が空っぽだと「そういえばあれを買わないといけなかった」という緊急の予定に対応できません。
たとえ週末の予定が空いていても、今日会社に行く時間がギリギリだと遅刻と隣り合わせでゆとりのない心持ちになります。
ちょっとしたゆとりを継続的に持つということは、柔軟な対応力に必要と言えます。
大きなゆとりと小さなゆとり
老後の貯金や長期休暇など、「大きなゆとり」は人生のおいて重要です。
しかしながらその一方で、日々の中に小さなゆとりを持つことも、人生の満足度には重要でしょう。
財布の中にちょっとだけ余裕を持ってお金が入っている。
一日の予定を全てこなしても、少し時間が余る。
自分の中に余裕があると、心が穏やかですし柔軟に対応ができますし、人に寛容になれます。
「小さなゆとり」を持つことの大切さを、心掛けていきたいものです。
参考資料
センディル・ ムッライナタン、エルダー・ シャフィール『いつも「時間がない」あなたに 欠乏の行動経済学』早川書房、2015年 p229