幼い頃の記憶
自分が子供の頃の記憶。
人はどのくらい幼い頃の記憶を覚えているものなのでしょうか?
おおむね、
人が覚えている最も古い記憶は、
3~4歳頃と言われています。
個人差はあれど、赤ちゃんの頃の記憶を自力で覚えている人は非常に少ないようですね。
なぜ人は幼い頃の記憶を忘れているのでしょう?
70歳、80歳になっても10代の頃を覚えているのに、
なぜ赤ちゃんの頃の記憶だけ人は覚えていないのでしょう。
考えてみれば不思議なものです。
人が生まれてしばらくの期間の記憶がない現象を、「幼児期健忘」と言います。
なぜ幼児期健忘が起こるのか?
その仮説は主に3つあるとされます。
甲南女子大学の論文などを参考に、幼児期健忘の原因について考えます。
幼児期健忘の原因
無意識と意識の違い説
記憶には無意識なものと
意識的なものがあるとされます。
無意識の記憶とは、自分が覚えていることすら自覚はしていないけれど、確かに自身の脳は覚えているという記憶です。
無意識の記憶を潜在記憶、
意識のもとの記憶を顕在記憶と言います。
幼児期健忘の仮説の1つは、
幼い頃は潜在記憶に比べると顕在記憶が未成熟で、そのため記憶を掘り起こすことができないという説です。
自己認知説
記憶の仮説の1つとして、
人が記憶を積み重ねていくためには、その出来事が「自分に」起こったことか否かをわかる必要があるという説があります。
また、子供が18か月~24か月頃になると鏡に写った自分を自分とわかります。
つまりこの頃から自分を認知できはじめるわけです。
幼児期健忘の2つ目の仮説は、生まれたばかりは自己認知が未成熟だからとする説です。
周囲との関り説
幼児期健忘の仮説の3つ目が、
人の記憶は周囲との関りが影響してくるとする説です。
冒頭で人が覚えている最も古い記憶は3~4歳頃と述べましたが、
3~4歳頃というのは他者との会話ができはじめる時期です。
つまり人に過去を伝えよう、共有しようとする言語能力や機会が、記憶の定着に関わってくるのではとする説です。
おわりに
幼児期健忘の原因についてはまだ仮説の段階で原因は1つに絞れていはいません。
ただ個人的には3つ目の仮説は示唆に富むというか、
やはり子供と会話にて思い出を共有することの大切さを改めて感じます。
補足記事
参考資料
『幼児期健忘と最初期記憶に関する研究の現在』(甲南女子大学 学術情報リポジトリ)2020年6月13日検索