選択肢が多いとむしろ選ばなくなる
人は選択肢が多いとむしろ選択しにくい場合があります。
選択肢が多い方がその人にとって好みのものがある確率が高く、一見すると選択がしやすそうです。
しかし実際、選択には認知的負担がかかるため、多すぎる選択肢はかえって選ぶことを難しくしてしまう場合があります。
研究
意思決定の実験
行動経済学者のセンディム・ムッライナタン氏らは、人の意思決定にして下記のような実験を行いました。
被験者である大学生を2つのグループに分け、仮装の意思決定を行ってもらいます。
1つ目のグループは、以下のような内容について答えてもらいました。
あなたは翌日に提出しないといけないレポートがあり、これからそのレポートを図書館で書くとします。
図書館へ向かっていると、ずっと聞きたかった講師の講義が急遽予定されていました。
あなたはそれでも図書館へ行きますか。それとも講義を受けますか。
この内容では、およそ60%の人が図書館へ行くと答えたそうです。
選択肢が多いグループ
2つ目のグループは、内容が若干異なる場面を提示されました。
あなたは翌日に提出しないといけないレポートがあり、これからそのレポートを図書館で書くとします。
図書館へ向かっていると、ずっと聞きたかった講師の講義が急遽予定されていました。
しかも隣のホールでは、ずっと見たかった映画が上映されるようです。
あなたはそれでも図書館へ行きますか。それとも講義を受けますか。それとも映画を観に行きますか。
誘惑の選択肢が多かった2つ目のグループは、なんと図書館へ行くという人が80%で1つ目のグループよりも多かったそうです。
解説
一見すると、図書館・講義・映画と選択肢が多いグループの方が図書館へ行く人は分散され少なくなりそうなものです。
しかし実際はむしろ図書館へ行く人が多くなってしまいました。
レポートの締め切りと選択肢の多さが重なり、意思決定の認知的負荷が高くなってしまったと考えられます。
つまり「選ぶのが面倒くさいな。とりあえず予定通り図書館へ行こう」となってしまったわけです。