コアトレーニングとは?
コアトレーニングとは、ワーキングメモリのトレーニング方法の分類の1つです。
コアトレーニングはワーキングメモリの容量自体を高めることを目的にしたトレーニングのことです。
ワーキングメモリの容量を増やせればそれに越したことはないのですが、コアトレーニングはまだまだ研究段階でありエビデンス(科学的根拠)はまだ確立されていません。
解説
コアトレーニングの位置づけ
非常に端的に言うと、
今あるワーキングメモリを上手く活用するトレーニングが「ストラテジートレーニング」であり、
ワーキングメモリの容量自体を増やそうとするのが「コアトレーニング」です。
当然、コアトレーニングにより容量自体を増やせれば苦労はないのですが、この研究自体が分析も含め難しく、まだまだ確立されていないのが現状です。
Klingberg氏の研究
コアトレーニングが注目されるきっかけになった論文の1つが、Klingberg氏の研究です。
この研究ではADHDの児童を対象にコアトレーニングを行い、結果としてワーキングメモリ以外に実行機能や流動性知能に関わる課題の成績も向上したとのことです。
この研究はワーキングメモリに関する研究界隈で非常に注目され、以後は多くの論文に引用されます。
しかしながら、コアトレーニングの効果については否定的な論文も見られます。
様々な結論の研究があることに加え、コアトレーニングの研究は研究者ごとに実験条件がかなり異なり、この点も比較・検証のしにくさにつながっています。
また効果が見られる研究においてもワーキングメモリの理論に則った説明ができない、つまり理屈を解明できないものもあります。
以上より、コアトレーニングは興味深い研究はあるものの、エビデンスが完全に確立したとはまだ言い難いのが現状かと思います。
コアトレーニングの例
これらを踏まえあくまで参考ですが、コアトレーニングの例を挙げてきます。
先述のKlingberg氏の研究では、4つの課題を行っています。
- 視空間ワーキングメモリ課題
- 逆唱課題
- 文字記憶課題
- 反応選択課題
次のページでこれらの内容を見ていきます。
コアトレーニングの内容
参考資料
『実行機能の初期発達,脳内機構およびその支援』(心理学評論刊行会)2021年11月6日検索
『ワーキングメモリトレーニングと流動性知能』(日本心理学会)2022年8月6日検索
『発達障害のある児童のワーキングメモリは改善できるのか–広汎性発達障害のある児童を対象とした試み』(東北福祉大学機関リポジトリ)2022年8月6日検索
『Training of Working Memory in Children with ADHD』(ResearchGate)2022年8月6日検索
『前頭前野とワーキングメモリ』(日本高次脳機能障害学会)2022年8月6日閲覧
『記憶とその障害』(一般社団法人 日本高次脳機能障害学会)2022年8月15日閲覧