ワーキングメモリ

ワーキングメモリの能力は遺伝するのか?

公開日:2022年9月27日


 
 

ワーキングメモリの能力は遺伝するのか?

 一卵性双生児を対象にした研究において、ワーキングメモリ容量の遺伝率は約50%であることがわかっています。

 
 
 

解説

ワーキングメモリと知能

 知能には様々な要素がありますが、そのうち様々な能力に共通する土台的な知能を「一般知能因子(g因子)」と言います。

 一般知能(g)は生涯にわたって変化が少なく、40~80%は遺伝で説明できることがわかっています。

 ワーキングメモリを評価する課題の1つに「Nバック課題」というものがありますが、この課題をこなすためには頭の中の情報を更新する力が必要となります。

 この更新機能は一般知能(g)と0.49の相関があります。

 このように、ワーキングメモリは全体的な知能との関りが見られ、またどちらも遺伝的な背景が比較的見られます。

 
 

教育の重要性

 このように遺伝的な特性が否定できないワーキングメモリや一般知能ですが、人の能力には環境も重要です。

 海外の研究によると、

 経済的地位の高い集団は教育環境が同レベルになるため遺伝的要因での能力差の説明がつきがちです。
 しかし経済的地位が下位の集団では、教育環境にばらつきがあるため遺伝的要因で説明がつく割合が低くなっています。

 これは別の見方をすると、

 環境の差によって人々の能力に差がついてしまうことを意味し、環境や教育が子供達にとっていかに大切かがわかります。

 
 
 

ワーキングメモリのトレーニング

 
 
 

参考資料

『実行機能の初期発達,脳内機構およびその支援』(心理学評論刊行会)2021年11月6日検索

『ワーキングメモリトレーニングと流動性知能』(日本心理学会)2022年8月6日検索

『発達障害のある児童のワーキングメモリは改善できるのか–広汎性発達障害のある児童を対象とした試み』(東北福祉大学機関リポジトリ)2022年8月6日検索

『Training of Working Memory in Children with ADHD』(ResearchGate)2022年8月6日検索

『前頭前野とワーキングメモリ』(日本高次脳機能障害学会)2022年8月6日閲覧

『記憶とその障害』(一般社団法人 日本高次脳機能障害学会)2022年8月15日閲覧

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