はじめに
「社会的失言検出課題」の例です。
正式な検査ではなく、数をこなして練習できるようあくまで例題です。
といった内容をご理解の上で例題に目を通していただけると理解が深まると思います。
問題文
ミホは新しい病院に転職した看護師です。
昼休み、同年代の看護師であるユキと会話をしています。
「旦那さんもお仕事は医療系の人?」ユキは言いました。。
「いえ、旦那は小学校の教師をしているの」ミホは言います。
「じゃあ子供の勉強とか教えてくれそうで心強いわね」ユキは言いました。
「そうね。でも意外と家庭ではそうでもなかったりするのよ」ミホは笑いながら言いました。
そこへ同じく同年代で看護師のメグミがやってきました。
「ねえ聞いて。昨日息子の担任の先生と話したんだけどひどかったのよ。やっぱり教師ってみんな大学出てそのまま学校に勤めるから常識がないわよね」とメグミが言いました。
少しの間があり、「そういえば給湯室にあったお茶菓子、あれは誰が持ってきたの?」ユキは言いました。「あれは5号室の佐藤さんのご家族がお見舞いに来たとき、『看護師さんに』って持ってきてくれたらしいわ」とメグミは答えました。
質問
①気まずいことや言うべきでなかったことを言った人はいますか?
「いる」場合、以下の設問にも解答します。
②気まずいことを言った人は誰ですか?
③なぜそれを言うべきではなかったのでしょう?
④なぜその人はそのように言ったと思いますか?
⑤その人は何を知っていて、何を知らなかったですか?
⑥相手はどのように感じましたか?
答え
①いる
②メグミ
③教師全体を「常識がない」と批判すると、教師の夫を持つミホは旦那を批判されたことになり、嫌な気持ちになるから。
④息子の担任教師とトラブルがあり嫌な気持ちになっていた一方で、ミホの夫が教師であることを知らなかったから。
⑤ミホの夫が教師であることを知らなかった。
⑥
教師をひとくくりにして批判するメグミに対し、教師の夫を持つミホは嫌な気持ち。あるいは、メグミはミホの夫が教師であることを知らずに言っているので、自分の教師が夫とわかるとメグミは狼狽するのではと気まずい気持ち。
また、ユキはメグミが教師批判をしている様子をミホが聞いているので、気まずい気持ち。
解説
悪気のない発言が、実は相手の配偶者や家族を批判することになってしまうことはわりと起こりうるケースです。
今回の場合、メグミが担任教師とのトラブルに関する批判を「教師」という職業全体に当てはめてしまったことも失言を生んだ1つの要因であると考えられます。