1. どこまでが「個人差」でどこからが「発達障害」?
人間の一般的な発達過程を正常発達と言います。
当然ながら、
発達には個人差があり、正常発達にぴったり当てはまらなくても異常というわけではありません。
重要なのはそのばらつきの程度です。
では、
発達がどのくらいまでの遅れが「個人差」なのか、どのくらいの遅れからが「発達障害」なのか。
目安としては、
幼児期の場合は実年齢から発達が1年分遅れていると、専門家の間では要観察あるいは療育対象になることが多いです。
以下、もう少し詳しく。
2. 幼児期の「言葉の遅れ」
子供の発達を知る場合、やはり見た目だけでは判断できません。
公的な場であればなおさらです。
子供の発達を知るには、発達検査を実施することが多いです。
子供の発達を見る検査はいろいろあります。
人間にはいろいろな発達の側面があります。
特に幼児期の場合、「言葉の遅れ」がきっかけで子供の発達を心配する親御さんは多いのではないでしょうか?
子供の言葉の力を見る検査は、言語発達検査と言われます。
例えば発達が1年遅れている子が言語発達検査を受けたらどうなるのでしょう?
3. 「言葉の遅れ」が気になって言語発達検査を受けたら?
言語発達検査にはいろいろあります。
例えば、LCスケールという言語発達検査があります。
補足記事:【検査】LCスケールとは?
LCスケールは医療機関やことばの教室で受けることができます。
例えば保育園の年長さんで、6歳0か月のお子さんがいたとします。
この子はどうやら言葉が1年分くらい遅れている印象があったとします。
そこでLCスケールを受けたとしましょう。
検査を受けた結果、この6歳0か月のお子さんは言葉の発達が5歳0カ月であったとします。
6歳時点で5歳の言葉の発達ということを、専門家はどのように判断するでしょう?
LCスケールは言語発達年齢だけでなく、そのお子さんの言語発達指数が出ます。
言語発達指数は、IQのようなものです。
補足記事:知能指数(IQ)とは? ざっくとイメージがわかる 簡単解説
言葉の分野のIQといったところでしょう。
LCスケールの言語発達指数は平均値が100です。
6歳0カ月のお子さんの言語発達年齢が5歳0カ月だった場合、LCスケールの言語発達指数はおよそ74になります。
LCスケールの場合、平均域は85~115です。
そして70~85の値が言語発達障害のボーダーラインとなります。
つまり、6歳0カ月で5歳0カ月の言語発達年齢を示した場合、言語発達障害のグレーゾーンの可能性が示唆されます。
以上により、専門家の間では要観察か支援の対象に挙がるわけです。
4. おわりに
その子の言葉の遅れが個人差の範囲なのか、あるいは深刻なものなのか。
これは検査の数値だけで決めることはできません。
例えば言葉の遅れは医学的診断としては言語発達遅滞と言われたりしますが、これは最終的には医師の診断が必要です。
検査だけでお子さんの発達の評価が全て決まるわけではないのです。
発達の遅れに対して支援が必要かも同様です。
支援の必要性の判断として、お子さんの発達の状況と同じくらい重要視されるのが「本人や周囲がどれくらい困っているのか」という点です。
現場ではよく「困り感」と言ったりします。
お子さん本人や保護者、保育園や幼稚園の先生などがどれくらい困っているか。
この困り感の度合いにもよるわけです。