療育コラム

時間遅延法とは?|発達障害児の療育・行動療法

公開日:2022年11月28日


 
 

時間遅延法とは?

 時間遅延法とは、子供が要求を言葉で行えるよう、意図的に指導者が子供の発信を待つ手技です。

 行動主義的アプローチ(行動療法)の手技の1つになります。

 
 
 

解説

行動主義的アプローチ(行動療法)とは?

 行動主義的アプローチ(行動療法)とは、応用行動分析(ABA)を活かした接し方の工夫、指導の工夫です。

 ABA(応用行動分析)とは、その人のその行動を「増やしたり」「減らしたり」するには、どういうことを設定すればいいかと分析することです。

 行動療法において基本となるのが「適切な反応を強化する」という概念です。

 例えば友達のおもちゃを勝手に取ってしまう子がいたとします。
 このとき「貸して」という言葉を練習する場合、「貸して」と言えたときにきちんと「『貸して』って言えて偉かったね」など褒めてあげます。

 一般的な子育ての場合、「貸して」と言えたとき親は無反応で、勝手に人の物を取ったときに「ダメでしょ!」と怒りがちではないかと思います。

 つまり適切でない反応を叱るという働きかけが多くなりがちです。

 行動療法場ではそういったネガティブな関わりではなくできるだけ「上手にできたこと」や「いけないことをしなかった」という点を褒めてあげるようにします。

 
 

時間遅延法のやり方

 時間遅延法は子供が言葉で要求できるように数秒ほど意図的に大人が待ちます。

 つまり子供の言葉を大人が先取りしないようにします。

 指導者が持っているおもちゃを子供が欲しそうに見ているとき、「これで遊びたいの?」と言葉を先取りせず、「貸して」と言えるようあえて待ってあげます。

 このようにして、要求言語を自ら発信できた経験を積んでいきます。

 
 

時間遅延法のポイント

 時間遅延法に限らず他の行動療法にも言えることですが、適切な反応を終始通して経験してもらうというのは大切です。

 例えば親が「貸してって言いなさい」「ありがとうをちゃんと言いなさい」と言った後に子供がそれを言うというのは子育てにおいてよくあるシチュエーションかと思います。

 しかしこれは行動療法の観点から見ると、子供は「大人に言われた後に言う」という経験しかできておらず、「自分で判断して自分で言葉を言う」という経験ができていません。

 子供の言語行動を習慣化させるには、言われてからやる経験だけでは不十分です。

 このような観点からも、子供の表出を促す時間遅延法は大切です。

 
 
 

応用行動分析(ABA)とは?

 
 
 

参考資料

-療育コラム

テキストのコピーはできません。