脳性麻痺などの疾患により身体および知的面に重篤な障害を呈す重症心身障害児者。
彼ら・彼女らの特別支援教育および療育に際してパソコンを活用することがしばしばあります。
これは重症心身障害児者に限ったことではなく、四肢が随意的(自分の思ったように)に動かしにくい肢体不自由児やALSなどの神経難病の方にも当てはまります。
障害により声を出せない。あるいは出しにくい。
車椅子や施設生活により移動に制限がある。
手が自由に動かせず、文字が書けない。
理由は様々ですが、
パソコンにより文字を打ちたい。メールなど遠く離れた人とコミュニケーションをとりたいという要望が出てきます。
障害様相にも異なりますが、例えば手が動かず首で頷くような動作しか動かせない。
最も重篤な身体障害の場合は1つのスイッチを押すことでの機器操作をすることになります。
たった一つのスイッチを押すか押さないかという動作だけで文字を打てる仕組みを作らないといけません。
1つのスイッチで機器を操作するための代表的な方式はスキャン方式です。
補足記事:スキャンとは?
スキャン方式を用いることで、文字の入力やパソコン操作が可能になります。
スキャン方式による1スイッチで文字を打てるようにすることは、重症心身障害児者への典型的な支援のひとつです。
スキャン方式による機器操作はいろいろあります。
今回はパソコンで例を挙げます。
スキャン方式に必要なものは以下のような感じです。
・パソコン
・スイッチ
・パソコンとスイッチをつなぐコネクタ
・スキャン方式に対応したソフト
上記の、「パソコンとスイッチをつなぐコネクタ」のことをスイッチインターフェースと言ったりします。
スイッチはいろいろな種類があり、本人に合わせたものを購入すればいいでしょう。
補足記事:スイッチの種類
スキャン方式の環境を整える方法はいろいろあります。
パソコンだけなく、iPadでもスキャンは可能です。
しかしながら、どの方法にも長所と短所があります。
低価格で導入でき、応用が効き、扱いやすい。
そんなバランスのとれた方法の一つが「Hearty Ladder(ハーティーラダー)」を使う方法です。
「Hearty Ladder」はパソコンでスキャンができる無料ソフトです。
例えば障害者のIT支援でスキャン方式を行いたいなら、以下をそろえれば便利です。
・パソコン
・スイッチ
・できマウス(スイッチインターフェース)
・Hearty Ladder
できマウスは障害者支援において最も有名と言えるスイッチインターフェースです。
補足記事:できマウスとは?
スキャンに対応したソフトは有料のものもいろいろあります。
しかし、無料でありながら高機能なHearty Ladderはぜひとも押さえておきたい教材です。
「Hearty Ladder」によるスキャン入力は特別支援教育や障害者のIT支援ではぜひとも覚えておきたい技法のひとつです。
Hearty Ladderはインターネットから無料でダウンロードできるので入手もしやすいでしょう。
関連記事:HeartyLadderとは?
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